標的型攻撃対策など、需要増のセキュリティ市場:IDC予測

山田竜司 (編集部)

2015-06-22 14:10

 IDC Japanは6月22日、2014~2019年のセキュリティ市場の調査結果と予測を発表した。2014年のSaaSを含むソフトウェア製品とアプライアンス製品を合わせたセキュリティ製品市場規模は前年比成長率3.5%増の2564億円だった。コンサルティングやシステム構築、運用管理、教育/トレーニングサービスを含むセキュリティサービスの市場規模は前年比成長率は6.9%増の6457億円だった。

 2014年のセキュリティソフトウェア市場は、サーバやシステムの統合など業務システムリプレースに伴うアイデンティティ/アクセス管理への需要拡大や、スマートフォンやタブレットの普及によるモバイルデバイスからのリモートアクセスと認証関連のニーズが高まった。さらに標的型サイバー攻撃への対策需要により、エンドポイントセキュリティとアイデンティティ/アクセス管理が市場をけん引し、前年比成長率は4.1%の2151億円だった。

 2015年以降は、法規制によってサイバーセキュリティ対策やマイナンバーなどの個人情報保護対策の強化が求められることもあり、需要が拡大するとみる。

 また、クラウドサービスやモバイル端末の利用拡大、標的型サイバー攻撃の増加により、セキュリティソフトウェア全体に対してニーズが高まるとした。このことから同市場の2014~2019年の年平均成長率(CAGR)は4.2%、2019年には2638億円に拡大すると予測している。

 2014年のセキュリティアプライアンス市場は、標的型サイバー攻撃対策としてニーズが高い侵入検知や侵入防御システムの「IDS/IPS」(Intrusion Detection System/Intrusion Prevention System)やアプリケーション層を制御する次世代型ファイアウォールを含むUTM(Unified Threat Management)が堅調だったが、それ以外は軟調であり、市場規模は前年比0.4%増の414億円と横ばいだった。

 2015年以降も、標的型サイバー攻撃への対策需要は継続して高く、多層防御を備えたUTM製品やIDS/IPS製品が市場をけん引し、2014~2019年のCAGR4.5%、2019年には516億円に拡大すると予測している。

 2014年のセキュリティサービス市場規模は、前年比6.9%増の6457億円だった。クラウドやモビリティ、ソーシャル技術など「第3のプラットフォーム」に最適化されたセキュリティシステムが求められるため、コンサルティングサービスからシステム構築、運用管理に至るセキュリティサービス全般に対する需要が高まっているとした。

 2015年からはサイバーセキュリティ基本法により、重要インフラ産業での標的型サイバー攻撃対策強化が求められるため、フォレンジックサービスやマネージドセキュリティサービスなど専門知識を有するサービスへのニーズが高まるとした。市場全体の2014~2019年のCAGRは4.9%であり、2019年には8202億円に拡大すると予測している。

 IDCは、特定の企業や団体を狙う「標的型攻撃」について、未知の脆弱性を狙った先進的なマルウェアや特定のシステム向けに開発したカスタムマルウェアを利用するなど巧妙化が進み、セキュリティ脅威も潜在化することで、引き起こされるセキュリティインシデントは、表面化した時点では経営もんだとなる重大な事案であるケースが増えていると指摘。

 セキュリティベンダーに対し、従来のシグネチャ型外部脅威対策による既知マルウェア対策と、非シグネチャ型外部脅威対策製品による先進的マルウェア対策、それらの外部脅威対策製品とセキュリティインテリジェンスを連携した多層防御製品やサービスを訴求すべきと提言している。これにより、ユーザー企業は継続的にセキュリティ強化を図ることができ、迅速な防御対策と運用管理負荷の軽減を実現できるという。


2014~2019年 国内セキュリティ製品市場 セグメント別売上予測(IDC提供)

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