「Web of Things」として開発環境や標準化に取り組むMozilla
最後のセッションを担当したのは、Mozilla Japanの研究員である赤塚大典氏。「BE THE FUTURE~WoT on Firefox OS」というタイトルから分かるように、Mozillaでは「Web of Things」というスタンスだ。同社のミッションは「よりよいインターネットを創る」ことであり、これはIoEにも通じるとした。赤塚氏は、その活動のマニフェストとして「MozOpenHard」を挙げた。ウェブページだけでなくウェブデバイスも作るという意味だ。
赤塚氏は、サービスの表現としてのデバイスという考え方を示し、Firefox OSを搭載したスマートフォンを紹介した。こういったデバイスにはウェブの文化や考え方を盛り込む必要があるとし、実際にFirefox OSはすべての機能がウェブ技術で提供されており、そのためサーバ機能さえ搭載するとした。このスマートフォンはKDDIに注目されているほか、すでに38カ国の17キャリアが採用している。
Firefox OSを活用したデバイスも続々と登場しており、その例としてFirefox OSをベースにしたストリーミングスティック端末「MatchStick」やパナソニックの4Kテレビ「ビエラ」、スマートウォッチなどを紹介。「WoT」を具現化するものであるとした。また赤塚氏は、「MozOpenHard」のコミュニティ面での活動を紹介した。同社では開発環境、標準化、事例、エキジビションに取り組んでいる。
開発環境として、赤塚氏は「CHIRIMEN」を紹介した。これはコンパクトなボードで、すべてウェブ技術で実現している。Firefox OS 2.1を搭載し、1GBのDDR3 DRAMおよびNand Flash、USBポート、MicroSDスロットを装備する。JavaScript、HTML、CSSを使用でき、HDMI端子によりディスプレイでウェブブラウザを表示したり、GPIO、I2C、UART、SPI、PWMのインータフェースを持つ。GPIOは同社が標準化を進めるAPIで、ワークウィークも開催された。
Mozillaによるウェブ技術を採用した開発ボード「CHIRIMEN」
エキジビションでは、5月に台湾でアイデアソンとメーカーフェアを開催している。事例では、「Web Centered Device」をコンセプトに、実世界からウェブ、そして再び実世界へという流れを具現化した照明「WEBNESS」を紹介した。この4つの取り組みは今後も継続していくという。また、WoTデバイスやサービス、オープンソースハードウェアの意味を追究していくとした。7月にはCHIRIMENに関する新たな発表もあるという。
Mozillaが標準化を進める「Web GPIO API」