Oracleは米国時間6月22日、20種類を超えるクラウド関連の新製品を発表するとともに、クラウド市場の攻略に向けて大幅に刷新した新戦略を公表した。2015年度末までに同市場の覇権獲得を目指す。
Oracleが発表した20種類を超えるPaaS(Platform-as-a-Service)製品とIaaS(Infrastructure-as-a-Service)製品は、データベース、アナリティクス、モノのインターネット(IoT)、コンピュート、アーカイブ用ストレージ、データ管理など、多種多様な領域を網羅している。
Oracleの会長兼最高技術責任者(CTO)であるLarry Ellison氏は、今回発表された新製品群により、クラウド上のアプリケーション構築に必要なすべての製品とサービスが整ったとし、顧客はOracle製アプリケーションだけでなくサードパーティー製アプリケーションもオンプレミスから「Oracle Cloud」に移行可能になったと喧伝した。
オラクルサーバ技術開発担当シニアVPであるThomas Kurian氏によると、アプリケーションやデータベースをOracle Cloudに移行する最大のメリットは、単なる経費の削減や複雑性の解消に留まらず、それらのアプリケーションやデータベースが自動的に最新技術に対応可能になる点にあるという。Oracle Cloud上では、データが暗号化されたうえで大幅に圧縮され、多様なアプリケーションが共存可能で、移行に際してコードを書き換える必要はなく、Oracleが提供するオンプレミス用テクノロジとの上位互換性が100%確保され、オンプレミスとパブリッククラウド間でワークロードの移動も可能になると、Kurian氏は述べた。
競合他社に対する歯に衣着せぬ物言いで知られるEllison氏は、今回もAmazon Web Services(AWS)やSalesforce.comなどをやり玉にあげ、Oracleはそれらの競合他社を大きく凌駕するクラウド製品群を獲得するに至ったと誇らしげに語った。また、クラウドサービスは3つの階層で構築されるが、AWSは1つ、Salesforce.comでさえ2つの階層にしか対応できない一方、Oracleは3つの全階層に対応可能だと主張した。
今回の新製品と新戦略の発表は、6月17日に発表された第4四半期の決算報告に対する失望感が未だ漂う中で行われた。市場関係者は非GAAPベースで109億5000万ドル(1株当たり87セント)を予想していたが、決算報告は107億ドル(1株当たり78セント)に終わっていた。しかしOracleは、第4四半期は結果として前年比マイナス5%に終わったものの、為替変動の影響を除外した実質はプラス3%だと主張している。
決算報告が予想を下回ることになった要因の一つは、前年比マイナス17%となったソフトウェアライセンスの収益にあると考えられる。しかし、第4四半期におけるソフトウェアとクラウド関連の収益は合計84億ドルで前年比マイナス6%に終わったが、為替変動の影響を除外した場合の値はプラス2%である。
Ellison氏は、Oracleが第4四半期に1217件の新規顧客を獲得しており、Oracle CloudがSalesforce.comやWorkdayよりもはるかに速いペースで成長していると主張した。また、Oracleは2015年度末までにPaaSとSaaS(Software-as-a-Service)市場における売り上げを15億ドル超まで引き上げ、Salesforce.comから市場の覇権を奪うことを目標にしていると強調した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。