IPアドレス指定におけるFanの正味の効果としては、既存のIPアドレスのそれぞれについて、新たに250個のIPアドレスが利用できるようになる。IPアドレスがある場所ならばどこでもFanを作成でき、全てのFanから250個のIPアドレスを得られる。複数のFanを稼働させることができるので、それぞれのIPアドレスの背後には、数千個のコンテナIPアドレスがあることになる。
これは、クラスBのIPv4レンジをクラスAレンジで拡張することによって行われる。つまり、インターネット上にルートを公開しない、未使用のクラスAのIPv4レンジを使う。
Shuttleworth氏は、「アドレス拡張のために、FanをInternet Engineering Task Force(IETF)のRFC(Request for Comments)として提出する」ことを計画しており、こう述べる。「『クラスE』ネットワークが確保されたが、定義されなかったことが分かったので、われわれはそれを新しい『拡張』クラスとして考えたいと思っている。クラスEのために確保されているクラスAネットワークアドレスはいくつかあるが、それだけではインターネット上で作動しない。未使用のクラスAアドレスでFanを使うことはできる(そして、使うのに良さそうな候補はいくつかある)が、この方法が標準化された方がはるかに良いだろう」
Fanは、初期のベータ段階であり、「LXC/LXD」および「Docker」と連動する。AWS上のUbuntuで利用可能であり、近いうちにほかのクラウド上でも利用できるようになる。現時点でのコードはUbuntu向けに最適化してあるが、どのLinuxでも作動するはずだ。
Fanの目標は、「現在利用できるネットワークツールと無理なく適合すること、そして既にある永続的なネットワーク構成システムから簡単に使えるようにすることである。同じようなツールは既に存在しており、例えばイーサネットブリッジの管理には『brctl』があり、アドレスの管理には『ip』がある。これらは一般的には、インターフェースにエイリアスアドレスを追加するといった、永続的な構成のために/etc/network/interfacesで直接使われている」(Ubuntu)
Kirkland氏が主張するのは、この結果として、「個別のホスト上に複数のコンテナを設置して、互いに直接アドレス指定することができ、各ホスト上に1つのネットワークデバイス以外必要なくなる」ということだ。「決定的なルートと、非常に高速な通信が実現する。分散データベースや合意プロトコルは必要ない。ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)でもない。これは本当に驚くべきことだ」(Kirkland氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。