「データ活用」は「駄目なら捨てる」覚悟で臨む
そうなると、仮に「データ活用」に取り組むにしても、導入するアプリケーションは、導入事例が豊富なツールで極端なハズレがないものを選ぶ必要がある。データ分析パターンも自社独自のものをチャレンジするのではなく、導入済みの各社が実施しているものを採用することになる。
これでは、データの活用を通じて、市場のトップランナーを目指すどころか、なんとか市場から遅れずにいられるかいられないか、のラインにとどまってしまう。
また、多くのツールは分析データが表やキューブ(データセット)になっているのが一般的であり、このデータセットの設計は、専門知識と試行錯誤が必要となる。結果的に、そのまま導入しようとすると、サーバやツールの導入を含めて多くの時間と人手、そしてコストが費やされてしまうことになる。
基盤導入やデータセットの設計などの時間を短縮する方法は、「駄目なら捨てる」という意識を持ち、「駄目なら捨てられる」という環境を作ることだ。データ活用においては特に、基盤にクラウドを活用し、試行錯誤と相性のいいアジャイルリーン型で取り組むのが適している。
例えば、クラウド上でHadoopなどオープンソースの大量データの製品やサービスを利用し、グラフ作成まで実施する仕組みを構築することで、必要なタイミングで複数のパターンを検証できる。これで、データセットの作成を設計、開発するのではなく、入力データを変化させながらグラフ作成し、その有効性を検証するトライ&エラーを実施できる。
データ活用は、投資対効果が分からないからこそ、アジャイルリーン型で取り組むのだ。結果として、時間とコストを削減するともに、不要な資産化を回避できる。