近年「PostgreSQL」が息を吹き返しているが、これはOracleのシェアを侵食しているからかもしれない。
Deutsche BankのアナリストKarl Keirstead氏は、オープンソースのデータベースがOracleの市場での優位性に対して「短期的な脅威になることはない」として、OracleがPostgresを恐れる必要はないと述べている。
「MongoDB」やDataStaxの「Cassandra」などのNoSQLデータベースは、主に新しい分野でシェアを増やしており、Oracleのリードを脅かす可能性も少ないという意味では、Keirstead氏の発言は正しい。しかし、Oracleと同じ古いスタイルのデータベースであるPostgresについては、また話が違うかもしれない。
EnterpriseDBが実施したPostgresに関する調査を信じるとすれば、その可能性は大いにある。Postgresの復調が本物であることは以前から明白だったが、Oracleの中核的な市場に食い込んでいるとなると、信じられないという人もいるだろう。とはいえ、Oracleに永遠にメンテナンス料を支払い続けることに疲れた企業がアプリケーションを切り替えようとしたとき、Oracleに取って代わるデータベースがあるとすれば、それは間違いなくPostgresだ。
脅かされる覇権
遠い昔のことだが、Oracleがオープンソースデータベースのことを、重要な本番環境では使えないテストや開発用のおもちゃだと切り捨てることができる時代があった。残念ながら、現実はそれほど甘くなかった。
例えばGartnerは、2018年までに新規に開発される社内アプリケーションのうち70%以上にオープンソースデータベースが使われるようになり、既存の商用RDBMSインスタンスのうち50%は、オープンソースに切り替えられるか、切り替えのプロセスに入っていると予想している。
つまりオープンソースデータベースは、新規アプリケーションについてはほぼ確実にOracleを圧倒し、従来型のワークロードについても、その覇権に風穴を開ける可能性があるということだ。
もしこれが本当なら、状況は大きく変わる。
調査主体の立場が偏っているため、割り引いて考える必要があるとは言え、EnterpriseDBのPostgresユーザーに対する調査は、従来であればOracle税を払っていた基幹ワークロードで、Postgresが利用されることが多くなっていることを示している。
- Postgresユーザーのうち、重要な基幹システムでPostgresを使用しているユーザーは、2年前には40%だったが、今では55%にまで増えている。
- ユーザーの77%は、すべての新規アプリケーションでPostgreSQLを使用しており、37%は既存のアプリケーションをOracleやMicrosoftの「SQL Server」からPostgresに移行した経験がある。
- PostgreSQLユーザーの37%は、いずれレガシーシステムをPostgresに切り替えるつもりでいる。2013年にはこの数字は29%だった。
- エンドユーザーは自組織でのPostgres導入例が大きく増えると予想しており、32%は今後1年間で本番環境への導入例が少なくとも50%増えると考えている。