SAPジャパンの馬場氏は、「Sports One for Soccerでは、ケガや治療、投薬の履歴などフィジカルに関する履歴や最新の情報を表示できる。夕方のトレーニングが始まる前にメディカルスタッフなどが選手の状況を確認し、痛みのレベルが下がっていることで、いつも通りにトレーニングを行うことができるといったことを判断したり、トレーニングが始まる前に、マッサージやテーピングをするように指示したりもできる」などと説明した。
岡田氏は、「起床時の脈拍が一番、体調がわかる。ウェアラブルで計測して、それをもとに“今日は休ませた方がいい”というのが判断できるようになる」とする。トレーニングプランの提案や戦術プランの共有、選手の広告撮影などのスケジュール管理なども行えるという。
SAPジャパン バイスプレジデント チーフイノベーションオフィサー 馬場渉氏
馬場氏は、「これまでは一人ひとりの選手のトレーニングメニューを細かく設定できなかったが、選手の状況にあわせて、心拍数をあげるトレーニングを織り交ぜたり、負荷をかけないものにしたりするなど、違った練習メニューが設定できる。パーソナラズ化したトレーニング内容でトレーニングの密度を上げることができ、コーチとしても選手の状態や得意不得意といったことを考慮し、トレーニング内容を変えていくことができる」とした。
ドイツでは、映像をもとに試合を分析する「SAP Match Insights」を活用。フィールドで起こったことを分析し、負けた相手に対して、次はどう戦うのかといったことを導き出すことができるという。
岡田氏は、「日本代表も次のワールドカップに向けて、こうしたものを導入したほうがいい」と語る一方、「FC今治には無料で使わせてほしい」と要望した。
馬場氏は、「スポーツの世界で学んだことをビジネスに活用し、また、ビジネスの世界で成功した事例によって、スポーツの強化に使えるといったことを目指したい」とした。
これに対して、岡田氏は、「スポーツはこれから大きな変化が起きる。データによって新たなものを生み出すことができる。私にはこれまでその感覚がなかった。Jリーグには、データは揃っており、環境は整っている。それを将来の予測に活用する必要がある」とした。
女子サッカー日本代表“なでしこジャパン”がW杯で決勝戦に進出したことについても岡田氏はコメントした。
「1回優勝することも大変である。今年のチーム力は、前回優勝時に比べて落ちているとみているが、粘り強く、決勝まできたのはすごいこと。運も味方につけている。ここでは、男子サッカーが学ぶということよりも、体力差があるなかで結果を出せているという実績を真摯に受け止めなくてはならない。日本人もできるんだということを素直に受け入れる必要がある」
Sports One for Soccerでは、試合の反省やサイドチェンジなどの戦術を共有するための機能も持つ