松井証券は、定型業務および非定型的な分析用途で利用している情報系システムの高速化を目的として、インメモリDBを採用した。製品を提供した日本オラクルが7月6日、発表した。
松井証券では、日々の膨大な取引データを集計した情報系システムを運用し、定形業務や非定型的な分析のために複数の部門で横断的に利用してきた。営業支援に関する情報、売買動向、さらにはシステム稼働の状況など多種多様なデータを活用し、顧客属性や日次、週次、月次といった時間属性、商品属性といった、さまざまな切り口での分析が行われている。
このシステムでは、頻繁に使われる直近のデータを格納したデータベースと、それ以前の過去10年以上のデータを蓄積した長期保管用データベースの2つを運用している。分析対象のデータと切り口によっては検索結果の表示に時間がかかる、またはデータベース間のデータ移行に運用負荷がかかるなどの課題を抱えていたという。
そこで今回、松井証券はデータベース構成を変更することにした。これまで2つに分かれていたデータベースを1つに統合し「Oracle Database 12c」上で運用すると同時に、「Oracle Database In-Memory」を採用することで統合後の非定型分析の高速化を図るという内容だ。
Oracle Database In-Memoryは、ロー(行)型とカラム(列)型の処理を最適に組み合わせるデュアルフォーマットインメモリアーキテクチャにより、分析、データウェアハウス、レポート生成におけるデータベースの処理性能を飛躍的に向上させ、同時にオンライントランザクション処理(OLTP)の高速化も図ることが可能。これにより企業は、ビジネス上の洞察をリアルタイムに得ることで、より優れた意思決定が可能となると同時に、トランザクションの処理性能を向上することができる。
松井証券では、本製品を採用するにあたり、既存のアプリケーションの変更なしでインメモリ機能による高速処理が実現できる点も評価されたとのこと。これによりNISA(少額投資非課税制度)などの制度対応や、新商品の追加などにより業務が追加、変更される際にも、今回のデータベース統合と分析の高速化により柔軟な対応が可能となるといった効果が期待されている。