女性起業家という大きなポテンシャルに投資するDell
今後5年で世界の女性の収入は13兆ドルから18兆ドルに拡大する、とE&Yは予想している。「これは中国とインドの2カ国合計のGDP成長予測の2倍」とMacPherson氏。女性はこれらの国を超える「ひとつの大きな途上国なのだ」と続けた。
Dellがこれら女性起業家への支援にコミットする姿勢は一貫している。イベントでは最大の目的であるネットワークの要素が多数あり、プレゼンの仕方、仕事を部下に任せるコツ、労働環境など、起業家たちが頭を悩ませるトピックをテーマとしたセッションが開催された。

英元ブレア首相夫人で弁護士、Cherie Blair Foundation for Womenを立ち上げて女性支援を行っているCherie Blair氏
また、英元ブレア首相夫人で弁護士、現在はCherie Blair Foundation for Womenを立ち上げて女性支援に回るCherie Blair氏も登場した。USA Todayのシリコンバレー担当記者のJon Swartz氏は、「ハイテク企業のイベントで最も充実している」と絶賛する。
地域も業種も規模もさまざまな女性起業家たちにも好評だ。常連はもちろん、初参加だった地元ベルリンのFast Forward Imaging(FFI)のAnna Rojahn氏は、「学ぶことが多かった」「起業家支援はどのベンダーも口にするが、Dellは本当にコミットしていると感じる」と感想を述べる。5回起業に失敗、6回目の正直で2年前にスタートしたビジネスが軌道に乗ってきた。
特にDellの顧客というわけではなく、会社にはDellのPCが数台あるだけだ。360度のイメージクロップサービスを提供する同社は、顧客であるEコマース市場の拡大や今後のAR分野での需要増に向けて事業規模を拡大する計画があり、クラウドやセキュリティなどDellに相談したいと述べた。
日本からは、アレルギーなど検査サービスを行うアンブロシアの代表取締役を務める志賀恵子氏、女性経営者を増やそうと一般社団法人エメラルド倶楽部を立ち上げた菅原智美氏、プロ野球選手と結婚後にニリアバニーを設立し保育園や学童保育経営を手がける細川眞紀子氏の3人、そして2015年の日本起業家賞で「デル パイオニア賞」を受賞した島津洋美氏が参加した。島津氏は、国際的に活躍する弁護士からデザイナーに転身、ファッションブランド「プリンセス ヒロミ」を立ち上げた。
ティーンネージャーが"アイデアをビジョンに"
今年のDWENでは「ユーストラック(Youth Track)」として、10代の男女22人が参加したワークショップも展開した。テーマは自分のアイデアをビジョンにする、というもので1日半のワークショップの成果として、30日の閉会セレモニーで2人が自分のビジョンを発表した。
1人は米テキサス州出身のArianaさん、16歳。洋服を替えっこしてみたいというトランスジェンダーのニーズに着目して、自分のワードロープと相手のワードロープを比べて着てみたい洋服を交換できるアプリのアイデアを堂々とプレゼン。「トランスジェンダーがなりたい自分になることができる」とArianaさん、トランスジェンダーだけでなく、「"本当の自分を表現したい"をお金をかけずに実現できる」とメリットを強調した。
もう1人は15歳のEmmaさん、本嫌いだった自分がハリーポッターに出会ってから読書家になった体験から、子供の本離れを解決するアプリのアイデアを披露。「本が嫌いなのではなく、読みたい本に出会っていないだけ」、好きな本を探せるサービスがこれを解決できるとした。

DWENと平行して開催されたYouth Track。学校が休みに入ったばかりのティーンネージャーたちが「アイディアをビジョンに」をテーマに取り組んだ。前列左から3番目がArianaさん、後列左から5番目がEmmaさん。