日立製作所と日立システムズは7月6日、マイナンバー制度への対応に必要な業務をワンストップで代行する事業者向けのビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービスを発表した。7月7日から販売を開始する。価格は個別対応。
今回発表した「マイナンバー対応BPOサービス」では、日立がこれまで疑似テストなどで培ったマイナンバー制度対応のノウハウを活用し、従業員などのマイナンバー収集、登録から廃棄までの管理、法定調書の印刷代行、ヘルプデスクといったサービスを提供する。
サービスを活用することにより、事業者はマイナンバーの管理や運用体制、設備に対する投資を削減できる。現行業務やシステムを大きく変えることなく、日立グループと同等のセキュアなマイナンバー管理、運用体制を実現できると説明する。
日立製作所が公共分野でのマイナンバー対応実績やノウハウを基にIDデータ管理や帳票出力を担う「マイナンバー管理システム」を開発し、日立システムズのデータセンターやコンタクトセンターなどと組み合わせて提供する。
例えば、事業者が従業員の源泉徴収票を各省庁に提出する場合、各従業員への給与の支払金額といった必要なデータを現行システムから取り出して日立側に提供することで、その後のデータ照合、帳票への印刷、封入までの業務を委託できる。事業者は、日立側から納品された源泉徴収票を、各省庁へe-TAXや郵送などの手段で提出する。
日立グループは、マイナンバ―法案が成立した2013年に「自治体向け番号制度導入支援ソリューション」の提供を開始しており、マイナンバーに関連するシステム導入、改修ノウハウを培ってきているとアピールした。
日立は、政府が「世界最先端IT国家創造宣言」の改訂版を6月30日に発行し「ITを利活用した公共サービスがワンストップで受けられる社会」に言及しており、民間企業が今後永続的にマイナンバ―の適切な取り扱いを求められると説明。中堅中小企業だけでなく、大企業もサイバー攻撃への対応などの観点から外部事業者に一括して委託したいというニーズが高まっていると指摘した。マイナンバ―を、なるべく自社で扱わないで制度に対応していきたいという顧客が多いとしている。
日立システムズのクラウド事業推進統括本部 クラウド拡散本部長の中田龍二氏はマイナンバー対応BPOサービスの特徴として「自社のサービスの顧客の業務内容を変更しない」「日立と同等のマイナンバ―管理ノウハウ、セキュリティを利用できる」「監査に必要なレポートを提出する」 「管理データを外部ネットワークにつながない」「(e-TAX)など電子化に対応」などを挙げた。
今回のBPOサービスの日立システムズ単体の目標売上高は2018年度までに累計65億円、このサービスについての日立グループ連結での目標売上高が2018年度までに数百億円と設定している。
マイナンバー対応業務の概要図(日立提供)
マイナンバー対応BPOサービスのイメージ(日立提供)