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政府が進めるAI、ロボット、ドローン、データ駆動施策--新たな社会設計の必要 - (page 3)

林 雅之

2015-07-10 07:00

「インテリジェントICT」とは何か

 人工知能などの活用による未来社会への対応についても検討が進められている。

 総務省は2015年6月30日、「インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する研究会」報告書を公表した。

 総務省は、人工知能に代表されるICT分野の急速な進展により、従来人間だけが行ってきた頭脳労働(認知、判断、創造)について、人間が機械の支援を受けたり、機械がその一部または全部を代替する結果、人間社会の大きな変化が予想されるとし、このような技術革新を「ICTインテリジェント化」、それを支える技術やシステムの総体を「インテリジェントICT」と定義している。

 ICTインテリジェント化には、人工知能の高度化や分散処理の進展、人間(の脳)と人工知能などとの連携など、6要素を挙げている。


出所:総務省「インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する研究会」報告書(6月30日)

 この報告書では未来の社会像についても言及しており、以下のとおり未来社会のイメージを紹介している。

 例えば、弁護士事務所の判例探索、医療分野の症例検索、保険の審査といったように、単独でその知識量や速い探索速度などを利用し、人間の業務の軽減や代替、さらには、高い精度の予測が可能となり、経営判断や生産性向上、商品開発など企業の意思決定の支援が進むようになる。

 また、交通や物流、オフィス業務、生活環境の自動調和などの社会全体を包みこむような支援が可能となり、ネットワーク上に多種多様な人工知能が出現し、異なる専門的能力を持った複数の人工知能を融合してとりまとめる能力を持つ人工知能も出現し、それらの連携や協調が進む。

 人間の潜在能力が人工知能によって引き出させるようになり、人間の五感能力がセンサとつながり、義手や義足ロボット駆動装置などのウェアラブルロボットを活用することで、人間の身体能力も向上するなど、身体的にも頭脳的にも発展する。

 そして、人間とロボットがリアルタイムに情報を共有して働き、協働で問題解決するなど、人間は周囲の環境とネットワークを介してシームレスにつながり、自身の取り巻く環境が自動的に制御され、秩序だった状態になる。高度な人工知能が時には有能な執事のように、時には家族のようにその生活に加わるようになる。

 これらの未来社会には、世界経済や雇用にも大きな影響を与えるとし、雇用の代替が進み、新規雇用が創出されるとしている。

 総務省では、未来社会の移行に向けて、現在取り組むべき課題も挙げている。

 研究開発の基本原則を策定し、人工知能の行動を最後は人間が制御可能とすること、サイバー攻撃やセンサ攪乱(かくらん)攻撃に対して十分な耐性が確保すること、プライバシー保護を確実にすることといったように、抽象的な原則論を具体化する基本方針の策定の必要性をあげている。

 また、人間の身体や生命の安全に関係する領域の判断をどこまで委ねていいか、自動運転車の人身事故やプログラム暴走などによる重大な事故や不具合が発生した場合に誰が責任を負うべきかなど、社会実装に向けた倫理や法律上の課題への対応についても提起している。

 総務省では、インテリジェントICTが社会に浸透し、人間の行動や思考形態が変化することを踏まえて、教育や労働など共存を前提とした社会設計をしていくことの重要性をあげている。

 さらに、インテリジェントICTを前提とした社会・経済への移行促進するため、企業間連携の促進などによるイノベーションの活性化や制度的対応、優秀な人材の育成や確保、戦略的研究開発の推進などを挙げており、これらの展開が普及に向けた鍵となる。

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