社会的価値を生み出す「データ駆動型社会」
経済産業省は5月21日、産業構造審議会 商務流通情報分科会 情報経済小委員会を開催し、「CPS(Cyber Physical System)によるデータ駆動型社会の到来を見据えた変革」の中間とりまとめ報告書を公表した。
実世界とサイバー空間との相互連関するCyber Physical Systemが、社会のあらゆる領域に実装され、大きな社会的価値を生み出していく社会として「データ駆動型社会」と定義している。

出所:経済産業省 「CPSによるデータ駆動型社会の到来を見据えた変革」の中間とりまとめ報告書(2015年5月21日)
「データ駆動型社会」が進む背景には、モノのデジタル化やネットワーク化の急速な拡大や、AIの進化による判断の高度化や自動制御の進展を挙げている。
CPSによるデータ駆動型社会の可能性では、日本においてもデータを核とした新たなビジネスモデルへの転換を図れば、世界の市場においても勝機があると指摘しており、今後の制度面、チャレンジ支援、基盤整備などにおける施策の方向性を示している。
まとめ
政府のロボットや人工知能に関する政策では、未来社会の実現イメージも踏まえ、技術的な取り組みだけでなく、社会設計や法制度、プライバシー保護など、さまざまな観点で検討を進めており、大きな社会的価値を生み出していく社会や新たな市場創造につながる視点が多く取り込まれている。
企業や社会、そして、個人がどのようにロボットや人工知能と共存し発展していくかという壮大なテーマに対して、政府は時代の急速な変化に適応した迅速かつ適切な政策とその実行力がより求められていると言えるだろう。
- 林 雅之
- 国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。NTTコミュニケーションズで、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開 発などの業務を担当。政府のクラウドおよび情報通信政策関連案件の担当を経て、2011年6月よりクラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書多数。