「レプリケーション」「データ圧縮」などといった個々のニーズも内容は徐々に変化している
下のグラフは年商50~100億円未満の中堅Lクラスに対して、「最も重要度の高いストレージ機器において実際に活用している機能や特徴」([活用中]:青色帯)と「最も重要度の高いストレージ機器において今後新たに活用したい機能や特徴」([活用予定]:赤色帯)の各選択肢を比較し年商別に集計したもの。
[活用中]の割合が[活用予定]より高い項目は「現時点でのニーズはあるが、今後さらに伸びる可能性は高くないと予想される機能や特徴」を示し、[活用予定]の割合が[活用中]よりも高い項目は「現時点のニーズはそれほど高くないが、今後は伸びる可能性のある機能や特徴」を表している。
つまり、[活用中]と比べ[活用予定]が長い項目が今後訴求する価値のある機能や特徴ということになる。具体的な項目としては「システムのレプリケーション」「プライマリデータの圧縮/重複排除」「オールフラッシュストレージ」「クラウドサービスへのデータ移動」「異種ディスク混在RAID」の4つが挙げられる。
「データのレプリケーション」および「システムのレプリケーション」における[活用中]と[活用予定」の比率を比べると「データのレプリケーション」に取り組んできたユーザ企業が今後は「システムのレプリケーション」を実現しようとする流れがあるものと考えられる。ソリューションを提案するメーカや販社/SIerとしてはデータ複製だけでなく、迅速かつ手軽にシステムそのものを複製できる仕組みを訴求していくことが求められる。
「プライマリデータの圧縮/重複排除」と「バックアップデータの圧縮/重複排除」も上記と同じ関係にある。「バックアップデータの圧縮/重複排除」に取り組んできたユーザ企業が、今後は「プライマリデータの圧縮/重複排除」を実現する段階へと進む可能性がある。
ただし、データの圧縮/重複排除の目的はあくまでコスト削減であるため、「圧縮/重複排除の導入によって逆にコスト高となる」あるいは「データ読み書き速度の低下や管理/運用の煩雑化」といった副作用を生じさせないことが大前提となる点に注意が必要である。
「オールフラッシュストレージ」のニーズは存在するものの、現段階では依然として中堅・中小企業にとって敷居の高い選択肢といえる。そのため当面は「フラッシュ/HDD混在型」や「キャッシュとしての利用」が現実解になるものと予想される。ここで重要となるのが既存ストレージ資産を有効活用し、新たなストレージ機器のための予算を捻出するための取り組みだ。
例えば、[活用中]に比べて[活用予定]の割合が高い項目の1つである「異種ディスク混在RAID」はストレージ機器筐体を従来よりも長く活用したい場合には有効だ。単なる更新需要に見えるストレージ機器導入においてもコスト削減につながる事前策を講じておくことが、別の新たなストレージ機器を訴求するための素地を作るためにも非常に大切となってくる。