社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 大阪府済生会 大阪府済生会中津病院(大阪市)は、プライベートクラウドと仮想デスクトップ基盤(VDI)でインフラ基盤を統合した。今後、この基盤で従業員の働き方変革を推進することで医療サービスの向上を実現していくという。ヴイエムウェアが7月9日に発表した。
同院は、全国の済生会79病院の中で3番目、大阪にある済生会8病院の中では最初に設立され、2016年には100周年を迎える都市型の大型総合病院。5月末現在、病床数は748床、職員数は1488人となっている。
これまで、大阪府済生会中津病院では院内のシステムが部門ごとに構築されていたため、ハードウェアリソースやライセンスの余剰が発生し、ハードウェア資産やソフトウェア資産が最適に利用できていないという問題があった。
物理サーバの台数が年々増えていく中で、院内にサーバ設置のためのスペース確保が困難になるとともに、ITの専任でない医療従事者が部門システムの運用管理を兼ねていたため、本来の医療業務へ100%注力できないという問題も発生していたという。
10年後の将来を見据えて検討し、医療サービス向上化のために、ITのサポートで医療従事者の働き方を変革することを今後の課題の一つに掲げていた。統合インフラ基盤は、こうした問題や課題を解決するために構築された。
同院は、ヴイエムウェアのプロフェッショナルサービス(PSO)の支援も受け、プライベートクラウドインフラを構築、管理するソフトウェア群「VMware vCloud Suite」を導入し、電子カルテシステムや部門システムを含め、約50近くのシステムのすべてを16台のサーバに統合した。
院内で大幅な省スペース化を実現したほか、ハードウェア費用、電気代、保守料などのコストを抑制しているという。部門ごとの個別のサーバ運用管理が不要となり、兼任の医療従事者は本来の医療業務に注力できるようになったとしている。
医療従事者の働き方の変革に向けてVDIを実現するため、VDIソフトウェア「VMware Horizon」を導入し、統合基盤にVDI環境も実装した。VDIで将来的には以下のような可能性を見据えている。
- 地域医療の観点でほかの病院から紹介された患者も、以前では特定のデスクトップ環境からのアクセスでのみ電子カルテを通じて容態確認できなかったことが、VDIで場所や時間に依存せず、インターネット環境さえあれば、どの端末からも患者の容態をすぐに確認できるようになる
- 医師の在宅時に患者の容態が急変した場合でも、医師の自宅PCからVDIにアクセスし、そこから電子カルテを参照しつつすぐに現場スタッフに適切に指示できるようになる
- 読影する放射線科医のような女性が多い専門職で育児休暇を取得するのではなく在宅勤務という形で自宅からVDIアクセスでレントゲンを読影できるようになる