2つ目の変化は、極端紫外線(EUV)リソグラフィを使ってチップを製造することだ。EUVリソグラフィは小型化を実現した主な要因である。従来、チップは紫外線(UV)リソグラフィ(フォトリソグラフィとしても知られる)を使って製造されていた。
「EUVが機能していれば、製造に必要なリソグラフィの手順を減らすことができる」(Fichera氏)
手順が減れば、製造コストも削減することができるかもしれない。しかし、特に初期の頃は、EUV用の機械をそろえるコストがかかるので、節約分が相殺されてしまう可能性があるとFichera氏は語る。しかし、EUVがさらなるチップの小型化を可能にするにつれて、EUVの使用は、業界全体の設備の一新につながるかもしれない。
Fichera氏は、これにはマイナス面もあるかもしれないという。なぜなら、設備の一新には莫大なコストがかかり、その余裕があるのはこの分野の主要プレーヤーだけであるため、製造チェーンのさらなる整理統合が進む可能性があるからだ。

提供:Darryl Bautista/IBM
IBMのプレスリリースによると、同社はこの新技術のターゲットになる可能性が高いものとして、クラウドコンピューティング、ビッグデータシステム、コグニティブコンピューティング、モバイル製品を想定しているという。モバイルに関して言えば、デバイスのパフォーマンスを維持しつつ電力消費量を削減したり、同じバッテリ持続時間でパフォーマンスを改善したりするのに役立つため、この新チップは重要である。
「通常、携帯電話プロバイダーはこれらのことを組み合わせて行う。彼らは機能を追加するが、同時に電力消費量が低減し、バッテリ持続時間をより長くする」(Liehr氏)
低消費電力化をめぐって、熾烈な戦いが繰り広げられるだろうとFichera氏は語る。現在ではIntelとIBMが最も大規模な争いを展開している。モノのインターネット(Internet of Things:IoT)の類いの端末は、小型化と低消費電力化の極めて重要なユースケースになるだろう、と同氏は付け加えた。さらに、システムオンチップ(SoC)への応用の可能性もある。Fichera氏はそれについて、「CPUに加えて、メモリなどの論理素子も同一のチップ上に集積するという概念」と説明している。
IBMの10ナノメートルチップでは、D-RAMをチップに搭載することができる、と同社は語っていた。それが7ナノメートルチップでも可能なら、SoCも現実味を帯びてくる。
全体的に見ると、これは開発を次の開発サイクルに押し上げる可能性があるので、業界のあらゆる人にとって朗報だとFichera氏は考えている。しかし、それによって、半導体業界の巨大企業の間で、新たな次元の競争が始まるだろう。
「それは劇的な出来事になるだろう。Intelが近いうちに反撃に転じると私は考えている。彼らにこれを受け流すことはできない。彼らがどう応えるのか楽しみだ」(Fichera氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。