2つの施策で接続できるシステムを増やす--インフォテリア、ASTERIA WARP強化 - (page 2)

日川佳三

2015-07-14 11:44

 現時点でパートナー3社が開発を表明しているアダプタは、以下の3つ。Sansanが運営している名刺管理サービス「Sansan」向けの「SanSanアダプタ」を信興テクノミストが開発する。自社製品との接続では、クラウド解析ツールの「bodaisアダプタ」をアイズファクトリーが、ビジネスプロセス管理ソフトの「BizPlatformアダプタ」をクレオネットワークスが販売する。

自社製アダプタはベータ版を無償配布--評価を製品に反映

 エコシステム強化の1つ、(2)のベータ版は、インフォテリアが新製品のアダプタを開発する際に、まずはベータ版(評価版)を無償で提供して市場の反応を調べる施策。試しに使ってくれたユーザーの声を製品にフィードバックして完成度を高める。ベータ版は技術者向け情報サイト「ASTERIA Developer Network」からダウンロードする。

 ベータ版の最初の試みは、3月に製品をリリースした「Amazon RedShiftアダプタ」と「Kintoneアダプタ」。いずれも2014年10月にベータ版を公開し、ユーザーの声を製品に反映した。Amazon RedShiftアダプタの製品化ではテンポラリテーブルを作成してデータ量を圧縮する機能を追加、Kintoneアダプタの製品化ではサブテーブルを取り扱えるようにした。

 6月には、新たに4つのアダプタをベータ版として公開した。NoSQLデータベース向けの「Amazon DynamoDBコンポーネント」、BI(ビジネスインテリジェンス)ソフト向けの「Tableauコンポーネント」、Notes向けの「Notes Restコンポーネント」、Hadoopファイルシステム向けの「HDFSコンポーネント」だ。

 Amazon RedShiftアダプタの事例として熊谷氏は、「BIソフトのTableauと組み合わせる例が増えてきた。典型的な使い方になっている」と説明。飲食業のイオンイーハートでは、販売時点情報管理(POS)システムのデータをASTERIA WARPで収集、加工してAmazon RedShiftに格納し、これをTableauで可視化、分析している。ASTERIA WARPをETLツールとして使っている事例だ。一方、Kintoneアダプタはインターネット広告会社のサイバーエージェントが使っている。

Handbookは今秋にiOSメッセージ通知を強化--サポートにも注力

 インフォテリアが開発、販売しているもう1つの主力製品がHandbookだ。営業担当者が顧客に見せる電子カタログなどをPDFや画像、動画などを1つにまとめたコンテンツ「ハンドブック」としてクラウドに登録して管理し、これをタブレットに配信して閲覧できるようにする(図2)。Handbook事業本部長の山崎将良氏は「タブレット端末の伝える力を引き出すことがコンセプト」と説明する。

Handbookの概要
図2:Handbookの概要(インフォテリア提供)
山崎将良氏
インフォテリア Handbook事業本部長 山崎将良氏

 Handbookのトピックは、今秋に実施する大型の機能強化だ。強化点の1つは、iOSデバイスへのメッセージ通知機能を追加すること。新たなコンテンツを登録した時やコンテンツを更改した時などに、タブレットに対してプッシュ型で通知できるようになる。

 メッセージ通知の狙いは「コンテンツのライフサイクルを整備すること」(山崎氏)。コンテンツの登録、利用、フィードバック、改善という一連のライフサイクルでメッセージ通知によってコンテンツの改善や登録を知らせることができる。フィードバック機能については将来的に強化していく意向だ。

 もう1つの機能強化点は、コンテンツ同士を関連付けて互いに参照できるようにすること。Handbookのコンテンツ同士には階層構造はなく、コンテンツとコンテンツをフラットに並べて管理している。新機能では、あるコンテンツ(URLを持つ)から別のコンテンツ(URLを持つ)にリンクを張って、これらを仮想的に結合できるようにする。「フラットで管理するコンセプトはそのままに利便性を上げる」(山崎氏)

 今秋の機能強化と並行して、導入を支援するサポートメニューを増やす予定だ。具体的には、フリーダイヤルによる電話サポートを月額1万円程度で、オンサイトでの導入支援サポートを半日あたり10万円程度で、それぞれ提供する。

 Handbookの直近の事例として山崎氏は、日本ミシュランタイヤ(1月導入)の事例と、冠婚葬祭の清月記(2014年12月導入)の事例を紹介した。日本ミシュランタイヤの事例は、トラックやバスといった業務用タイヤを販売する販売店がタブレットを利用する。顧客に料金シミュレーションを実施し、初期導入コストは高くても長期的には安上がりであることを示す。

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