インドネシア市場をねらえ

知っているから、そこにあるから買う--インドネシアの消費財業界 - (page 4)

高澤まなか(アクセンチュア)

2015-07-17 07:00

 今回記事を執筆するにあたり、アミノ酸系調味料3位のMiwon(1973年設立。韓国企業との合弁会社で、アミノ酸調味料を中心に広く商品展開)にインタビューをすることができた。

 若者の食習慣が欧米や日本・韓国といった他のアジアの国から影響を受け変化しており、健康志向も高まる中、Miwonでは、商品の開発については食において保守的な中高年層ではなく、若年層をターゲットした消費者向けの商品を開発している。

 前述のとおり、Miwonも消費者に商品ブランドの認知をしてもらうことは重要であると認識しており、特に郊外の村では、初めに認知したブランドを購入しつづけてくれる傾向があるという。

 Miwonの場合、中央および東ジャワ島中心に強い卸ネットワークがあり、その地域ではMiwonのブランド認知自体は高い。限られたマーケティング予算を効率的に活用するためにTVコマーシャルは極力控え、スーパーマーケットなどの近代小売店舗で販売している。

 マージンは低いが、店頭を活用したマーケティングと割り切り商品を供給しているという。さらにインドネシア人のスマートフォン・SNSの活用状況を鑑みて、オンライン媒体への予算の割り当てを増やしてブランド認知を維持しているとのことだった。

 商品の供給も既存のネットワークを活用しており、卸ネットワークで他社が強い地域をあえて攻めることはしない。

 飲料会社のMayora社(77年設立。元々コーヒー飲料や菓子を中心としたメーカーで、近年Puchuk harumブランドで紅茶飲料に進出)はここ数年で売り上げを大きく伸ばし、茶飲料市場においても第2位のシェアを誇る。

 彼らは茶飲料市場に進出する際、TVコマーシャルより既存ビジネスで構築してきたワルンを中心とした卸ネットワークをさらに強化し、店頭での商品のキャンペーンやイベントへの協賛出店で認知をあげている。さらにFacebookやTwitterなどのSNSの活用で、継続的な顧客接点を構築してきた。

 また、卸へのインセンティブ付けや低容量・低価格によるトライアルの促進によって、商品の供給を継続し、顧客接点を増やして結果的に売り上げを伸ばしている。

 筆者の周りでPuchuk harumを買っている人たちに味が好きなのか、と聞くと必ずしも好きとは限らないが、お店で目についたから、安かったから、前に買ったことがあってよくみるブランドだから、などの理由で買っているという答えが返ってきた。

 味はそこそこでも手に入りやすく、ある程度ブランドとして認知させることができており、結果的に成功している。

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