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ウェザーニューズが買収したモバイルアプリ「Weathermob」の可能性 - (page 3)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2015-07-16 15:54

――Weathermobのシステムとは。

LeStage氏 サーバ自体はクラウドにありまして、そこで管理しています。Weathermobのトラフィックはまだまだ少なく、極端な集中などもありませんので、従来の環境をそのまま継続しています。ただ、いずれはウェザーニューズのシステムと統合したいと考えています。特に投稿データは天気の写真やコメントなど、ウェザーニューズのデータと性質が似ていますから。

――2社のデータを統合し、世界中の気象データを集める意味とは。

LeStage氏 観測データという、これまでとは違う観点の世界で、写真や気持ちなどのデータが集まります。そのデータは、今まで誰も観測したこともなければ集めたこともないものになります。そういうものが仮に世界中から集まれば、そのデータはどんなビジネスに対しても価値がある情報になるだろうと思います。


ウェザーニューズ 取締役 石橋知博氏

石橋氏 たとえば数値として気温が分かっても、本当に暑いのか寒いのかの感覚までは分からない。節電の時代に気温の完璧な予測ができたとしても、人間がどう感じるかまでは予測できないわけです。その「人間の感覚」がデータとしてあるわけですから、電力会社やモノのインターネット(IoT)を進めていく白物家電のメーカー、アプリケーションをコントロールするサービスプロバイダーでも、人間の感覚の予測データは「あれば欲しい」と思います。それによって自動的にコントロールすることも可能になるわけですから。そういう観点で、ビジネスにはなり得ると思います。

――今後の展開は。

石橋氏 やはり日本だけでなく世界を意識していくことになります。ただ、これまで日本から世界に行ったコンテンツはあまりありません。LINEやSmartNewsなどは成功していますが、分野や市場によってチャレンジの手段は違うと思うんです。特に天気の世界においては。ローカルで強いところはありますが、まず全世界において天気のトータルサービスをしているところが存在しません。

 その中でわたしたちが肌で感じているのは、仮にどこかの国で成功したとしても、それをそのまま横に展開することがほとんどできないという難しさです。それは、データも画像も文化も表現も、地域によって全然違うためです。まずは地球規模の基盤が必要です。基盤を作れれば、地球の温暖化から、特定の場所で1時間後に雨が降るのかといったことまで対応できるかもしれません。

 世界に展開する際はさまざまな企業とパートナーシップを作っていって、それぞれビジネスもちゃんと成り立つWin-Winの関係をいかにコラボレーションしながら進めていけるかがキーになります。しかも地球にはたくさんの国があります。最終的には、そこに住んでいる人たちの根本的なニーズを満たしながらサービスを成り立たせられるかがチャレンジになります。

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