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解決すべきは「戦略」より「東洋と西洋の文化の違い」--レノボに見る多国籍化への軌跡 - (page 3)

Cho Mu-hyun (ZDNet.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2015-07-28 06:30

英語の学習

 中国企業の人と仕事のやり取りをする際には英語での意思疎通が可能だ。しかし、中国の一般市民で英語を話せる人は少ないようであり、筆者が空港を出てホテルに向かう時から苦労の連続だった。誰も英語を話してくれず、理解もしてくれないようだった。筆者が北京のLenovoオフィスを訪問する際にも、タクシーの運転手や通行人に対してジェスチャーを使ったり、行きたい方向を指さしたりする必要があり、大変な思いをして目的地にたどり着いた。しかし、オフィスに到着すると状況は一変した。LenovoのIDカードを首から提げている人たちは皆、人によってレベルに差があるとはいえ上手に英語を話せるようだった。

 Qiao氏は10年前まで英語を話せず、米国人の役員と議論をする際には、通訳の助けを必要としていたのだという。同氏は言語の壁をもどかしく感じていたが、それ以上に言葉にともなうエチケットやマナー、文化といった点で問題を感じてもいた。そして、従業員から良くない印象を抱かれる場合もあった。

 Lenovoは、IBMだけでなくさまざまな経歴を持つ人材を雇用してきている。また、2000年代の半ばには、Lenovoを発展させる原動力としてDellやHP、Microsoft、Acerの人材も雇用してきた。

 同氏は「言語が違うとコミュニケーションの方法も違ってくるため、『私は同意しない』ということを丁寧に伝えるだけでもひと苦労だった。このため多くの米国人社員は私のことをとても傲慢な人間だと思っていたはずだ」と笑いながら述べ、「その後、さまざまな人々と一緒に仕事をしていくなかで、ようやく『同意できる部分もある』とか『この点については同意する』と言えるようになった」と述べた。

 当時の社内では、英語があまり重視されていなかった。そこで、会長兼最高経営責任者(CEO)であったYuanqing Yang氏は、Lenovoを真にグローバルな企業にするために、英語を公用語にするという決定を下した。中国語で書かれていた書類はすべて英語に変更された。Qiao氏自身も今では英語を流ちょうに話している。

敬称の廃止

 2000年代初期におけるIBMからの事業譲渡よりも前に、Lenovoはよりグローバルな文化に向け、中国文化からの脱却を図っていた。

 まず、従業員の使う敬称が問題となった。西洋文化では、人々はお互いをファーストネームで呼び合うのが通例だ。しかし東洋文化では、職場において敬称を付けて名字で呼び合う。例えば、上司に呼びかける際には、名字の下に中国語で上司を意味する「zǒng」(总)を付ける。会長であるYang氏はこの慣習を撤廃すると決定した。

 Qiao氏は「格式張った呼び方によって、従業員は階級の違いを意識するようになる。そして上司の主張をそのまま受け入れ、従わなければならないと感じる。これは創造性にとってマイナスとなる」と述べた。

 この変革を確実なものとするために、Yang氏はすべての上級役員にファーストネームのみが書かれた名札を付けさせた。その後、彼らを会社の正門のところに立たせたうえで、出社してくる従業員すべてに肩書き無しの名前であいさつさせるようにしたのだ。

 Qiao氏は「従業員らは上級役員を敬称を付けずにファーストネームで呼ぶ際に顔を赤らめたり口ごもったりしていた。というのも、目上の人間に対してそのような行動に出ることは中国文化では失礼に当たるためだ」と述べた。しかし、今では会長のYang氏は従業員から「YY」と親しみを込めて呼ばれている。

 このような西洋の習慣は中国では考えられないものだったため、浸透させるのは困難を極めた。それから数年後、Qiao氏が中国のテレビ番組内でインタビューを受けた際の話だ。インタビューの間、シニアバイスプレジデントである同氏はいつものように会長のことをYYと呼んでいた。そのインタビューを見ていたQiao氏の叔母は、Qiao氏の両親に対して娘をしっかり教育し、尊敬というものを教え込まないといけないという怒りの電話をかけてきたのだという。

 敬称についてのこのような考え方は、ライバル企業のHuaweiやXiaomiとは異なっている。XiaomiのCEOであるLei Jun氏はジーンズを愛用するカジュアルさで知られているが、従業員からは「雷总」(léi-zǒng)と呼ばれている。

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