今では、Ciscoのようなネットワーク分野の大企業が、苦境に立っている。同社が提供する高価で複雑なスイッチは、クラウドプロバイダーが必要としていない多数の機能を備えているからだ。クラウドプロバイダーははるかに安い費用で自らスイッチを作っており、企業のITプロフェッショナルはそれに気づいている。
新しい技術が企業に普及していくのは、これまでと同じように、経済的な理由からだ。最高財務責任者(CFO)たちは、Amazonの価格を見て、なぜCIOの要求する予算がこんなに高額なのか不思議に思っている。保存されている業務用ファイルのほとんどが、数回しかアクセスされないことを考えれば、それももっともな疑問だ。
その一方で、エンタープライズ市場は停滞している。企業は非成長市場には投資しないため、大企業のIT支出の増加分はクラウドに費やされ、レガシーベンダーには行かない。
最近はシステムの大規模な再検討が近づいている気配がある。ノートPCユーザーはSSDが大好きだが、SATA SSDはデータセンターではすでに古い技術だ。今は、フラッシュストレージや不揮発性メモリストレージ技術が、クラウドプロバイダー(そしてほかのすべての企業)に、システムアーキテクチャの再検討を迫っている。
これが実現すれば、今よりはるかに効率的なサーバが手に入るはずだ。しかし、50年ものあいだ使われてきたディスクを基盤にしたシステムをなくすには時間がかかる。
将来を分けるストレージ技術
コンシューマライゼーションはITによい影響を与えてきたが、よいものにはすべて終わりが来る。消費者はモバイルに移行し、ウェブスケールの企業は費用と効率を追い求めている。温室の中にいた企業のIT部門では、Amazonがその高コスト体質を暴き出すまで、費用と効率はどちらも二次的な問題だった。
ARMベースのサーバやSATA SSDなどの、消費者向けのテクノロジをエンタープライズ市場に持ち込もうとする最近の取り組みは、不幸な結末を迎えつつある。その一方で、ウェブスケールの技術を大企業のニーズに当てはめようとする企業は、大きな成功を収めつつある。
消費者にとっては、それで何か問題があるわけではない。単に市場が進化したというだけのことだ。
Apple、Dell、Lenovo、Hewlett-Packard(HP)など、消費者を重視するメーカーは、消費者に適した製品を作って売るのに十分な規模の市場を持っている。その一方で、ウェブスケールの大企業もまた、そのニーズを満たすだけの規模の市場を持っている。
パーソナルコンピュータの「パーソナル」な部分はマス市場になり、「コンピュータ」の部分はウェブスケール企業の市場になった。どちらも勝利を収めることができるのだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。