(例3)販売・マーケティング目的のセミナーにおいて参加者の個人情報を、本人の事前同意を得た上で、主催社から協賛各社(スポンサー)に提供したい
広告代理店や出版社などのメディアが主催するセミナーや展示会イベントなどにスポンサーとして出展・協賛した企業に対して、主催社側から参加者の個人情報を提供する場合がある。
こうした場合、従来は本人から同意を得た上で、主催社と協賛各社との間で個人情報の提供や守秘義務などに関する契約を締結しておくなどの手続きを実施しておくことが多かった。しかし改正案において、この25条・26条の内容が加わったことで、さらに提供者側である主催社には記録の作成が義務付けられる。
また提供を受ける側の協賛各社では、個人情報の受領に関わる経緯や契約の情報を取りまとめて記録の作成し、「取得の経緯を確認した」という説明が確実にできるようにしておく必要があるだろう(お詫びと訂正:内容に誤りがあったため、初出時の括弧内の記述を9/15に削除しました)。
本稿では個人情報の第三者提供に関連して、改正案の内容から、企業の実務に影響を及ぼすと考えられる点を2つ挙げた。これ以外にも実務に影響を及ぼすことが想定されるポイントは幾つか存在するが、それらについては次回以降、説明していく予定である。
- デロイト トーマツ サイバーセキュリティ先端研究所 主任研究員 北野晴人
- 二種通信事業者、外資系通信機器ベンダーなどを経て、2001年から2013年春までリレーショナル・データベース、アイデンティティ管理を中心にセキュリティ関連製品の販売戦略・ビジネス開発などを担当。その後、セキュリティ技術と法律、マネジメントをつなぐコンサルティングを提供中。情報セキュリティ大学院大学博士前期課程修了(情報学)、(ISC)2アジア・パシフィック・アドバイザリーボードメンバー。公認情報システムセキュリティプロフェッショナル(CISSP)日本行政情報セキュリティプロフェッショナル(JGISP)