フィリピン国家警察(PNP:Philippine National Police)は、新たな自動指紋認証システム(AFIS:Automated Fingerprint Identification System)を導入した。システムを提供したNECとNECフィリピンが7月22日、発表した。
フィリピン国家警察は、「PNP's Crime Laboratory Modernization」プログラムにおいて、2030年に向けて、より一層信頼ある警察組織の確立を目指す「PNP Patrol Plan Vision」構想を掲げており、同システムの導入はその一環。
新たに導入された自動指紋認証システムは、あらかじめデータベースに登録してある犯罪者の指紋画像と、犯罪現場に残された遺留指紋(物体を触った時に残る指紋の跡)を照合するなど、フィリピン国内における犯罪、鑑識捜査の用途に活用される。
同システムは、NECがフィリピン国家警察に収めた従来のシステムと比べて、約3倍のスピードでの指紋画像の検索・照合を実現したことに加え、指紋画像を保存するデータベースの容量を従来の5倍に拡大。これにより、犯罪捜査における被疑者の特定や災害時の犠牲者の識別などを、これまで以上に迅速かつ効率的に実施できるという。
NECは、米国国立標準技術研究所(NIST:National Institute of Standards and Technology)が実施した指紋認証技術のベンチマークテスト「FpVTE2012」(Fingerprint Vendor Technology Evaluation 2012、押捺指紋照合ベンチマーク評価)において、指紋認証技術で1位の照合精度を有するとの評価を獲得したとしている。
このテストは、大規模データベースを対象にする「国民ID」や「犯罪捜査」分野での実運用を想定し、警察や政府機関など、異なる組織で実際に採取された指紋画像を対象に実施した。
また、2003年のテスト開始以来、最大規模である500万人という大量の指紋データを用いて、検索や本人確認などの精度を評価している。NECは、平均照合率(1対N照合において本人が1位候補となる割合)が99.63%で、参加全18社のうちトップだった。