2020年までに世界最先端IT国家に--日本政府の戦略 - (page 3)

林 雅之

2015-07-28 07:00

(2)ITを利活用したまち・ひと・しごとの活性化による活力ある社会

 政府は、地方の雇用創出と地域経済の活性化の促進に向けて、6月に決定した地方創生IT利活用促進プランを推進する。

 主な施策では、「情報共有基盤整備、RESASやSNSなどを用いた情報分析・活用、政府CIOや成功経験者等によるIT人材派遣支援(新規)」による地方公共団体などに対する人材・産業活性化支援を予定している。さらに「地域ITスタートアップファンド創設、IT人材発掘などによるベンチャー企業等支援(新規)」を通じて、起業家精神の創発やベンチャー・中小企業を含むオープンイノベーションを推進する。

 政府が力をいれている「RESAS」とは、産業構造や人口動態、人の流れなどに関するビッグデータを集約し、可視化する地域経済分析システムだ。RESASは、地方公共団体における地方版総合戦略を策定する際の情報支援ツールとして位置づけており、観光政策や地域経済の活性化などへの活用が期待されている。

 オープンイノベーションの推進では、中小企業や中小企業支援機関が、企業におけるIT活用状況を評価できるツールを構築し、普及を図るためにパッケージ化された「起業家精神を創発するIT関連施策パッケージ」の利用により、どれだけ新たな起業が生まれ、ビジネス創出につながったかが、1つの大きな指標となる。

(3)ITを利活用した安全・安心・豊かさが実感できる社会

 政府は、医療や農業、道路交通、社会インフラなどの分野でも、積極的なIT活用を進める。

 医療分野では、医療情報利活用基盤の構築や医療・健康情報などの各種データの活用推進により、健康寿命を1歳以上延ばす健康長寿社会を目指す。

 農業分野では、今後急速に失われていく可能性を持つ篤農家の「暗黙知」を、ITにより「形式知」として継承する、農業情報科学「AI(アグリインフォマティクス)」の取り組みを農林水産省が推進している。高齢化や後継者不足が懸念されるなか、知識産業化や成長産業化に向けて、新規参入を促す仕組みづくりの取り組みを進めている。

 交通分野では、官民ITS構想・ロードマップ2015の策定や推進により、世界で最も安全な道路交通社会実現を目指し、交通データの利活用や安全運転支援・自動走行システムの開発や実用化に向けて実証実験を展開している。自動走行では2020年代後半以降には完全自動走行システム試用開始を目指す。

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