デルは7月28日、ビッグデータや“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”の活用推進を図る施設として「Dell Bigdata/IoTラボ」を東京・三田の同社東日本支社内に開設した。同支社内のラボは、GPU技術を開発、検証する「Dell GPUソリューションラボ」に次いで2番目となる。
デルとデル・ソフトウェアが持つ製品を集約。センサやSNSなどから発信される情報や各種データベースによるデータ統合環境、インメモリ環境でのデータ分析、予測、レポーティングに至るまでの一連のプロセスに関する検証環境を提供する。ユーザー企業とパートナー企業に活用方法を提案していく。
具体的には、製造業をはじめとする販売製品、生産機器などの障害予測、生産プロセスでの高度な品質管理、自動化に対するシナリオのほか、マルチソースを活用したマーケティング施策への活用のための検証などを予定。概念実証(Proof of Concept:PoC)環境の無償貸し出し、有償のコンサルティングとトレーニングの提供も計画しているという。
「最新のITを活用したビッグデータとIoT、リアルタイム分析、予測の利用促進」のほか、「業界ごとの利用シナリオの作成」「IoTデバイスやETL(抽出、変換、ロード)、DWH(データウェアハウス)、分析基盤でのエコシステムの組織化」、ラボでのデモや検証を通じた新規需要の創出」、「インメモリデータベースのベンチマーク環境の提供」、「ISV(独立系ソフトウェアベンダー)およびSI(システムインテグレーター)との協業フレームワークの確立」などに取り組むという。
すでに、清涼飲料水製造での品質管理向上に関するデモシナリオを用意。品質に影響を与えるセンサデータを特定することで品質を改善するとともに、センサデータから品質値を予測して該当品を排除することで、生産効率を向上させる提案を行うという。
Bigdata/IoTラボのデモや検証環境としては、予測分析ソフトウェア「Dell Statistica」やデータベース関連ツール「Dell Toad」、Oracle Database向けのデータ統合基盤「Dell SharePlex」、インメモリデータベースのHANA向けのx86サーバ「Dell PowerEdge R930 for SAP HANA」、HadoopディストリビューションであるCloudera向けのx86サーバ「Dell PowerEdge R730/R730xd for Cloudera Hadoop」、センサなどからのデータを転送するための「Dell IoT Gateway」などを用意している。
Bigdata/IoTラボのフレームワーク(デル提供)
デル エンタープライズ・ソリューション統括本部 エンタープライズ・ソリューション&アライアンス部長 馬場健太郎氏
ビッグデータへの課題
デル エンタープライズ・ソリューション統括本部エンタープライズ・ソリューション&アライアンス部長の馬場健太郎氏は、「デルの調査によると、ビッグデータを効率的に活用している企業とそうではない企業とで、売上成長率で75%の差がある。そうした中でセンサデータを活用し始めようとする企業が増加している」と現状を解説した。
「その一方で、ビッグデータを活用することによるROI(投資対効果)が曖昧であったり、サイロ化されたインフラを使用しており、踏み出せないといった課題、古い技術を利用しているためにデータが統合できないといった課題がある。Bigdata/IoTラボでは、業界ごとの具体的な利用シナリオを提案して、さまざまな課題解決を支援し、ビッグデータを活用することでビジネスの変革をサポートすることになる」(馬場氏)
インメモリ技術による高速処理、テキストマイニングや深層学習(ディープラーニング)に加え、クラウドや非構造化データに対応したETLツール、IoTゲートウェイなどの新たな技術によるブレイクスルーでビジネス上の課題、技術的技術を解決するという。
また、「デルは、ソリューション中心の企業へとシフトし始めており、その中でDell Blueprintsとしてソリューションフレームワークを定義。それに加えて、パートナー企業とのエコシステムやオープン環境への取り組みも進めている。デルは、独自技術で拘束しないこと、誰でも利用可能なオープンな技術、モジュール設計による拡張性、エンドトゥエンドソリューションが特徴である。ビッグデータやIoTでも、この姿勢は変わらない」(馬場氏)とした。