デジタルバリューシフト

IoTの未来と白昼夢--デジタルバリューシフトは想像から - (page 2)

林大介

2015-08-11 07:00

2020年のオフィスワーク

 オフィスにつくと、まずは今日の夕方からのプレゼンテーション資料の作成に取りかかった。セキュアなクラウド上のファイルを複数人で編集するので非常に効率が良い。次に明日の顧客訪問のためのミーティングを少人数で、その後やや大人数の報告会に出席した。

 一昔前とは異なり、会議室の運用効率はとても高い。全ての机や会議室にビーコンが設置されており、社員の利用状況をリアルタイムで解析し、週次で細かくワークスペースを調整しているためだ。

 お昼になると、今話題のお弁当屋がフロアにやってくる。われわれが毎日記録しているヘルスケア情報を基に、最適なカロリーと栄養配分のお弁当を配達してくれるサービスだ。昨日飲み過ぎたせいか、今日のお弁当はカロリーが抑えめで水分が良く採れる構成になっているようだ。もちろん、このお弁当の決済も「受け取る」だけで完了してしまう。

 昼食を採り終え、プレゼンテーションの最後の仕上げが完了した。顧客とのアポイントまでまだ時間があるが、かなり早めにオフィスを後にした。書きかけの原稿があるが、ちょっと気分を変えて客先近くのカフェで仕事をしようと思い立ったのだ。電車に乗ると外国人観光客がたくさん乗車しており、手にはオリンピック観戦のチケットを兼ねたスマートデバイスが握られているようだ。

 電車内のサイネージもデジタルが目立つようになり、向かって左側のサイネージには中国語、右側にはロシア語が表示されている。乗客のチケットや車内カメラの映像などから総合的に判断して言語を切り替える仕組みらしい。別の乗客がサイネージの前に立つと英語に切り替わった。恐る恐る私もサイネージの前に立ってみると無事に日本語が表示されてほっとする。

 すると目的地の1つ前の駅で、急にスマートフォンに電車から降りるよう促された。目的地の駅はちょうど競技が終わったばかりで大混雑しているのに加え、昨晩採りすぎたカロリーを消費するために「歩け」ということらしい。悔しいが素直に従うことにする。

 少し汗ばみながら目的地にたどり着き、SNSで現在地をつぶやいた後、カフェでパソコンを開いた。すると、何も注文していないのに店員がもう飲み物を持ってきた。聞けば「奥様からです」とのことらしく、失った水分と塩分を補給するにぴったりな野菜ジュースだった。いつも私の身体を気遣ってくれる良い妻だ。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ChatGPTに関連する詐欺が大幅に増加、パロアルトの調査結果に見るマルウェアの現状

  2. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  3. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  4. セキュリティ

    いま製造業がランサムウェアに狙われている!その被害の実態と実施すべき対策について知る

  5. セキュリティ

    ランサムウェア攻撃に狙われる医療機関、今すぐ実践すべきセキュリティ対策とは?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]