VMwareと比較すると、Microsoftはツール群をもう少し改善する必要がある。GartnerはMicrosoftの管理ツールについて、使いやすさといった点で弱点も抱えていると判断したようだ。VMwareと同様、オープンソース技術がMicrosoftの仮想化関連の売り上げを浸食している。
Red Hatのクラウド基盤としてのRHEV
Red HatはMagic QuadrantでVMwareとMicrosoftに次ぐ3番手の位置を狙っている。Gartnerによると、「KVM」ベースのハイパーバイザである「Red Hat Enterprise Virtualization」(RHEV)は市場で5%の普及率を獲得しているという。同社のRHEVと「CloudForms」「OpenStack」「OpenShift」の統合スタックはエンタープライズ市場への浸透に寄与するだろう。
vSphereとHyper-Vからのプレッシャーを感じるCitrix
2014年のMagic Quadrantでの位置と比較すると、「XenServer」と「XenDesktop」「XenApp」の製品群を擁するCitrixはそれほど進歩していない。AWSを含むパブリッククラウドサービスプロバイダー市場での「Xen」ハイパーバイザの普及を前提として、Citrixはこのカテゴリを獲得することに注力している。デスクトップ仮想化分野では、XenDesktopとXenAppは広範に使用されているが、バックエンドのハイパーバイザはvSphereとHyper-Vがより幅広く採用されている。
同社は「CloudStack」ベースの「CloudPlatform」をエンタープライズ市場に売り込もうともしている。OpenStack、さらにvSphereやHyper-Vをベースとする商用クラウドプラットフォームとの競争により、Citrixを取り巻く状況は厳しくなっている。
特定市場を見つけつつあるOracleとファーウェイ、Odin
オープンソースハイパーバイザのXenをベースとする「Oracle VM」は、Oracleの認定やライセンス、サポートを検討する顧客に好まれている。Gartnerによると、Oracle仮想化技術向けのサードパーティーエコシステムは市場リーダーのそれと比べて小規模であり、そのことが普及に影響を及ぼしているという。
Huaweiの仮想化プラットフォームである「FusionSphere」は、ブラジルやロシア、インド、中国といった新興市場に食い込んでいる。
クロスプラットフォームのホスティング自動化を手がけるParallels, Inc.は2015年3月、自社のサービスプロバイダー事業をOdinというブランド名に変更し、オペレーションを開始した。コンテナに関して幅広い専門知識を持つOdinは、新しいサービスプロバイダー顧客を獲得したいと考えている。
これはエンタープライズITにとって何を意味するのか
x86ワークロードの75%は既に仮想化済みだとGartnerは言及しており、大半の組織は次の論理的な段階、つまりハイブリッドクラウドの展開を検討している。VMwareのvCloud AirとMicrosoftのAzure Stackが、ハイブリッド戦略を実施する顧客にとっては有力な選択肢だろう。
エンタープライズITは、急速に進化するコンテナ技術の評価も行っている。先頃の「Open Container Initiative」とCloud Native Computing Foundation(CFNC)の発表から分かるように、特定のアプリケーションのクラスをコンテナに移行させることが重要視されている。MicrosoftやVMware、Red Hatを含む従来の仮想化ベンダーは、コンテナ技術に重点的に投資を行っている。MicrosoftがHyper-Vコンテナや「Nano Server」に投資していること、VMwareがコンテナに特化したOS「Photon」の開発を決定したこと、Red Hatが「Atomic Host」を発表したことなどが、このトレンドを示している。
顧客は自らのアプリケーションポートフォリオを注意深く分析して、従来の仮想化、コンテナ化、そしてクラウドに最も適したワークロードを見極める必要がある。データセンターの未来はハイブリッドクラウド、次いでコンテナによって構成されるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。