収益部門がほかの部門を支える構造
小売業界、クラウド業界のAmazonの競合相手にとって悪いニュースは、AWSの収益性は向上しているように見えることだ。
その理由の一部は、同社の最高財務責任者(CFO)Brian Olsavsky氏が業績報告で述べているとおり、パブリッククラウド業界では全体的に価格が大きく下がっているにも関わらず、AWSがイノベーションのためにお金を払う顧客を獲得していることにある。
利用率は前期比で見ても、前年同期比で見ても増加し続けている。また、コストベースでの事業効率も非常に高い。
イノベーションは減速しているのではなく、むしろ加速している。当社は350もの新たな機能やサービスの提供を開始しており、われわれはこれが顧客の共感を呼んでいると考えている。
価格は確かに要因の1つだが、われわれはそれが常にもっとも重要な要因であるとは考えていない。実際、顧客からの声によれば、当社の顧客は、早く前に進む能力と敏しょう性を重視している。
さらにOlsavsky氏は、AWSは2006年にスタートして以来49回値下げしており、値下げはモデルの一部であるとしている。実際、この側面でAWSに追随できる競合相手は存在しないが、その理由の1つは、Amazonほど小さな利益幅でやっていける構造の企業がほとんどないことだ。
だが、営業利益率はこれまで一般に考えられていたほど小さくはない。AWSの21.4%という営業利益率はかなりのものであり、ある意味ではAWSの効率を控えめに表現している。Olsavsky氏が指摘している通り、Amazonは「外向けのAWS事業のみならず、社内でのAWSサービスの利用でも効率性の恩恵を大きく受けている」という。
この傾向は今後も続くだろう。また、これが小売業界とIT業界の両方、そしてまだ発表されていない事業で、今後も市場破壊を続けていく原動力になるはずだ。
Evans氏は次のように締めくくっている。「Amazonの事業の売上は急速に伸びているが、余剰のキャッシュや利益を積み上げてはいない。これは、キャッシュのすべてが事業を拡大するための設備投資に回されているからだ。しかし、いずれかの事業が継続的な赤字になっているわけではない。すでに上げている利益は、新たな事業を生み出すのに費やされている」(Evans氏)
これもすべて、「ローマージン」のAWS事業のおかげだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。