ハイブリッドクラウド環境への企業ニーズが高まるとともに、運用管理をどうするのかという課題が浮上しつつある。むしろ、運用管理をベースにクラウドサービスを柔軟に使いこなす発想もあるのではないか。
IBMが示したクラウド時代の運用管理の新しい姿
日本IBMが8月3日、運用管理ソリューション「IBM Control Desk」の最新版を国内で、SaaSとオンプレミスの両形態で提供開始すると発表した。旧来、「Tivoli」の名称で広く利用されてきた運用管理ソフトの流れを汲むもので、企業システムの仮想化やクラウド化によって、複雑化する運用管理の負担を大幅に軽減できるようにしたとしている。
IBM Control Deskは、運用管理のベストプラクティスである「ITIL」に準拠した手順で、クラウド環境にも対応したITサービスマネジメントを実施可能。最新版として、ユーザーの問い合わせやリクエストを自動化できる「セルフサービスポータル」、コストやワークロード最適化の取り組みを支援する「アナリティクス技術」、管理製品のインテグレーションを行う「外部連携インターフェース」といった機能が新たに追加された。
会見に臨む日本IBM執行役員IBMシステムズ・ソフトウェア事業部長の渡辺公成氏
IBM Control Deskのさらに詳しい内容については他稿に委ねるとして、ここでは今回の発表会見でも話題に上っていた「クラウド化に伴う運用管理のあり方」に注目したい。
まず、会見で説明に立った日本IBM執行役員IBMシステムズ・ソフトウェア事業部長の渡辺公成氏が、コンピューティング環境の進化に伴う運用管理領域の変遷について図1を示した。年代とともに「クライアント・サーバ」から「クラウド」などの最新環境へ移り変わる中で、運用管理はもともとの「システム性能監視」に加えて「インフラ、サービス、ビジネスの統合管理」、そして「ITサービスマネジメント」が加わったことを端的に物語っている図なので掲載しておきたい。
図1:コンピューティング環境の進化に伴う運用管理領域の変遷(出典:日本IBMの資料)