マイナンバー制度対応を含めて受注が順調に伸びているNECだが、エンジニア不足の状況について問われた川島氏は、「エンジニアが足りない状況は続いているが、最も影響が大きいのは、プロジェクト案件が増える中でそれらをマネージできる人材が足りなくなること。当社ではそれを避けるために、グループを挙げてプロジェクトマネージャーの育成に注力してきた。今のところはそれが奏効している」と語った。
大型プロジェクトが相次ぐと、ユーザー企業の間で優秀なプロジェクトマネージャーの争奪戦になるケースを幾度か目の当たりにしたことがある。いずれにしてもIT市況がだいぶ良くなってきていることは間違いなさそうだ。
「従業員に対する企業の安全配慮義務の遂行が急速に難しくなってきている」 (コンカー 三村真宗 代表取締役社長)
コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏
出張・経費管理クラウドサービスを提供する米Concur Technologiesの日本法人であるコンカーが先ごろ、従業員の出張リスクを一元管理するSaaS「Risk Messaging」を国内で提供開始すると発表した。三村氏の冒頭の発言は、その発表会見で、新サービスを投入する背景について語ったものである。
Risk Messagingは、グローバルなリスク情報を企業の管理部門が把握し、主に海外へ渡航する従業員の所在管理や、迅速な情報共有で、現地従業員の安全確保のための対応を支援するサービスである。三村氏は新サービスについて、次のように語っている。
「日本企業がグローバルで事業展開を進める中、海外出張する従業員の安全管理の重要性が高まっている。従業員が渡航先で事件や事故、災害に遭遇した場合、現地のリスク情報の収集や従業員の所在および安否の確認、迅速な避難指示といったリスクマネジメントが必要不可欠となる。Risk Messagingはこれらのプロセスの一元管理をサポートするとともに、海外旅行保険だけではカバーできない“プロアクティブな対策”を実現する」
新サービスの詳しい内容については関連記事を参照いただきたい。
Concurが提供する出張・経費管理クラウドサービス「Concur Travel & Expence」は現在、世界150カ国で3万社以上の顧客企業に利用されており、特に米国では出張・経費管理コストの1割以上が同社のサービスで処理されているという。日本でも2011年からサービスを開始し、「顧客企業は500社を超えた」(三村氏)としている。今回はこれに従業員の出張に関するリスクマネジメントの観点から、新サービスを拡充した格好だ。
Concurは2014年12月に独SAPに買収され、SAPグループの一員となったが、サービスは今後もConcurブランドで独立した形で展開していくようだ。SAPという強力な後ろ盾を得てますますパワーアップした感があるConcurのビジネス展開に今後も注目しておきたい。