海外コメンタリー

遺伝子検査のもたらす素晴らしくも恐ろしい未来(下)--99ドルで解析も、その先にあるもの - (page 3)

Jo Best (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2015-08-11 06:30

 ヒトゲノム計画が2003年に当初の目的を達成するまでに、状況は大きく変わった。研究者らは他の研究機関から結果をダウンロードして、そのデータを用いて自ら解析を行えるようになったのだ。

 Schloss氏は「(ゲノム解析の歴史の中で生み出されてきた)さまざまな技術は、今日の商用に付されるDNAシーケンス技術や解析ビジネスで非常に幅広く利用されており、ほんの少しの知識があればほとんど誰でも洗練されたDNAシーケンス解析が可能になっている」と述べている。

コロニーピッカーは、コロニーからバクテリアをピッキングし、ウェルに落とし込む。
コロニーピッカーは、コロニーからバクテリアをピッキングし、ウェルに落とし込む。
提供:Maggie Bartlett

 データがあまりにも多いという状況に加えて、キャピラリーアレイ電気泳動システムの登場により、DNAのシーケンス解析研究機関におけるロボット化の時代が幕を開けた。従来であればDNAを組み込むバクテリアの培養は学生たちの仕事だった。未来の研究者らは、殺菌したつま楊枝のようなピッキングピンでバクテリアをかき取り、培養液の入った試験管に入れる作業を延々と繰り返していたのだ。

 しかし、このような手作業での「コロニーのピッキング」は、キャピラリーアレイ電気泳動システムの連続稼働を可能にするほどには手早くできなかったため、支援のためにロボットが導入された。コンピュータによる画像処理機能を搭載したコロニーピッカーという装置によってバクテリアのかき取り作業が可能になり、そのバクテリアがコロニーとして成長した際には他のロボットによってバクテリアからのDNAの取り出しが可能になり、また別のロボットによって塩基のシーケンスを解析するために必要な化学反応プロセスが実行できるようになった。

 こういったロボットは当初、マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学が共同運営しているブロードインスティテュートをはじめとする研究機関によって開発された。そして、商用の類似ロボットが後に続いた結果、ヒトゲノムの秘密を解き明かすペースはさらに加速された。

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