Googleの純粋なストレージコストは、AWSのコストを下回っているが、純粋なストレージコストですべてが決まるわけではない。NearlineとGlacierは、いずれも1Gバイトあたりの1カ月料金が0.01ドルとなっているものの、APIへのアクセスと復元コストが大きな影響を与える。Google Cloud Storageの総所有コスト(TCO)を計算できるページにおけるさまざまなユースケースが、このことを浮き彫りにしている。ベンダーの価格計算ページを使用する際には、記されているさまざまな注釈に注意する必要がある。例えば、実際の使用料金は含まれているサンプルによって変わってくるだろうし、対話的な用法(アプリケーション)によるAPIの使用コストはデータのバックアップよりもコスト高になる。とはいえGoogleは、同社の価格(PDF)がESG Labによって検証されているとしている。
NearlineとGlacierを比較する際にはパフォーマンスという観点も外せない。両者は競合製品だが、アーカイブからの取得に要する時間はGlacierが数時間単位である一方、Nearlineは数秒単位となっている。Glacierの遅延時間を考えた場合、磁気テープを用いたストレージが使用されているようだが、2012年のサービス開始時にAWSが米ZDNetに対して語ったところによると、テープ装置を使用しておらず、「低価格なコモディティハードウェアをコンポーネントとして使用」することでハードウェアを隠ぺいしているという。しかし、事例証拠に従うとGlacierはSpectra Logicの磁気テープ「LTO-5」か「LTO-6」を用いているようだ。
テープストレージ業界に対するクラウドの影響
テープストレージにも新たな進歩がもたらされようとしている。ソニーは2014年に面記録密度が1平方インチあたり148Gビットというテープ装置を発表している。ただ、この製品は今のところ発売には至っていない。また、IBMのストレージハードウェア事業も低迷しており、同社の最近の動きとあわせて考えると、この事業も売却されるのではないかと予想されている。
中小企業でテープ装置を導入するというのは、おそらくコストに見合わないはずだ。コストに見合うデータ容量が膨大すぎるのだ。米ZDNetの試算では、こういったアレイだけ(テープを除く)で45万ドル近くするため、中小企業のデータアーカイブ容量を考えるとAWSやGoogleの年間ストレージ料金の方がずっとリーズナブルになる。
テープ装置の採用が妥当となるケースもあるだろうが、ほとんどの企業では、ハードウェアの物理コストとそれを稼働させていくための電力(もちろんこちらはディスクドライブに比べると微々たるものだ)を考え合わせると、現実的な答えではなくなるだろう。しかし、「LTO-7」が視界に入ってくれば、今までの評価を見直す必要が出てくるはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。