日本オラクルは、2016年度の重点施策のひとつに位置づけている「Platform as a Service(PaaS)」の取り組みについて説明した。同社では、POCO(ポコ=The Power of Cloud By Oracle)と呼ぶキーワードを打ち出し、クラウドを基本戦略に据えている。
日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 PaaS事業推進室の室長、竹爪慎治氏は「オラクルは、Integrated Cloudを打ち出しており、オンプレミスとクラウドの間で、同じアーキテクチャ、製品、知識・ノウハウを活用している」と話す。
オンプレミスで培った高度な技術をクラウドへ展開し、エンタープライズ向けに統一した基盤を提供している。また、SaaS、PaaS、IaaSというすべてのレイヤで幅広いクラウドサービスを提供できる。さらに、ERPなど従来型の基幹系システムを指すことの多い「System of Record」と、ビッグデータやモバイル向けのアプリケーションなどを含む「System of Engagement」の両方に対応する新たなパブリッククラウドを提供できる点も特徴としている。
基幹系ユーザーや既存ユーザーが持つデータベースやJavaといった資産を活用しながら、ビジネスインテリジェンスやビッグデータなどにも対応できる。x86環境に加えて、データベース専用機「Engineered Systems」を活用できる点も差別化ポイント」だとした。
そのほか、「クラウドのサービス形態としては、定額制と従量制の2種類を用意しているが、従量制においても、1年間有効のプリペイド額を購入し、実利用ベースで課金し、必要に応じて追加購入できる仕組みとしている。サービス内容を強化したり、従量制でありながらも投資額を明確化したいという場合にも活用できる。これは、PaaSの環境においては大変重要な仕組みになる」などと述べた。
Database Cloud Serviceの利点
一方、日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 Cloud/Big Data/DISプロダクトマーケティング部の部長、佐藤裕之氏は「Oracle Database Cloud Service」の概要について説明。
Oracle Database Cloud Serviceとは
部門アプリケーションなどに対応したSchema Service、エンタープライズアプリケーションに対応したDBaaS、ミッションクリティカルアプリケーションに対応したExadata Serviceの3つのサービスを用意しており、部門アプリ基盤からミッションクリティカル基盤までさまざまなサービスレベルに対応しているほか、ビッグデータアナリティス、ビジネスアナテリティクス、バックアップといった機能によって、エンタープライズで必要なデータ管理サービスを提供できることを強調した。
「オラクルは、すべての機能をパブリッククラウドに向けている。Enterprise Managerによって、オンプレミスと同様の環境をクラウドが活用できる」とする一方で、「オンプレミスとOracle Cloudを比較すると、潜在的な管理コストを含めた部分で、Oracle Cloudはコスト優位性を持つ」との考えだ。
Database Cloud Serviceでは、従来のOracle Databaseの機能がそのまま利用できるため、個別実装が不要であり、運用管理もそのままの手法を踏襲することができる。
また、オンプレミスでは90ステップで、構築までに5~6週間かかっていた環境を、Database Cloud Serviceでは5ステップ、30分間で構築でき、18分の1のステップでDatabaseをプロビジョニングできる。これは、クラウド専用ツールを採用していることが背景にあり、ワンクリックでパッチを適用すたり、DRなどの可用性向上への取り組みも実施できる。コストは約35%削減し、工数は約95%削減できるとしている。
Database Cloud Serviceの各種エディション