知的交配によるわらしべ長者
既述の高知のお茶農家は、このセミナーに参加し、スイーツ加工ができる事業者と知り合った。スイーツ事業者からのアドバイスで、これまでにはないお茶感のあるスイーツを作ろうということになった。 キーワードは“食べるお茶”だった。

こうしたキーワードへの取り組みは、農家単体で難しく、スイーツの加工業者と組むことで動きが加速した。 年に一度開催される、コラボグランプリで、この農家の作った食べるお茶、「茶大福」は、見事、審査員特別賞を受賞した。賞をとると、実際の販売もしやすくなり、この商品も新しい販路を開拓しやすくなっていった。
展開は海外へと広がっていく。コラボでは、こうした全国の地方の良い商品を、「ニッポンの宝物」として海外につなげていく取り組みも実施されている。そこで、香港で日本の良い素材を使った新しいスイーツの店ができる事業者が見つかり、そこに商品を紹介されたのだ。その事業者は、アパレル関連で実績を持っており、スイーツ商品の見せ方にこだわった。
結果、高知の茶大福が、さらに現地香港の事業家とのコラボレーションで、とてもファッショナブルな商品に育っていったのだ。 店舗がオープンすると、茶大福の人気はどんどん上がっていった。そしてわずか半年で、その店舗で人気の商品に育っていったのだ。
流れを整理してみよう。
- 農家で茶作り
- コラボを通して加工業者と組む
- 「食べる茶」創作
- グランプリで審査員特別賞
- 海外の販売事業者とコラボ
- 大ヒットへ
一つの商品が、短期間で知的交配を繰り返し、全く別物のように成長していったことがよくわかる。異なったDNAを持つ人達と、ステージに合ったコラボをしていくことで、段階的に、見事なコラボレーションに成功した好事例だといえる。
