UXの評価
UXはユーザーの内面を含む話なので、そもそも評価するのは難しい。また、単純に「良い・悪い」「数値が高い・低い」などで評価できるものでもない。システムがどんなUXをもたらしているか、思考発話法やインタビューなどによってある程度は分かるかもしれないが、完全に客観的な評価はほぼ不可能である。
大きな粒度のUXに関しては、放送大学の黒須教授が「UXグラフ」をユーザーに描いてもらうという手法を提案している。
小さな粒度の UXに関しては、未だ定まった方法はないが、たとえば「スムーズさ」などの感覚であればデバイスやポインタの動きからある程度客観的にも測れるであろう。
まとめ
UIの評価を行うためのさまざまな方法や、関連する事柄について述べた。設計時点で静的に測れるもの、実際にユーザに使ってもらって測るもの、客観的に数値化できるもの、ユーザに発話してもらって推測していくものなどいろいろな方法があるので、目的に応じて活用するとよい。
次回は、これまでのおさらいや、カバーしきれなかった話題などを取り上げる予定である。
- 綾塚 祐二
- 東京大学大学院理学系研究科情報科学専攻修了。 ソニーコンピュータサイエンス研究所、トヨタIT開発センター、ISID オープンイノベーションラボを経て、現在、株式会社クレスコ、技術研究所副所長。 HCI が専門で、GUI、実世界指向インタフェース、拡張現実感、写真を用いたコミュニケーションなどの研究を行ってきている。