IDC Japanは8月19日、国内中堅中小企業IT市場での販売チャネル別の支出動向を発表した。PCのほかにルータなどのネットワーク機器では「販売代理店」経由での導入の割合が高い一方で、サーバやストレージ、プリンタや複合機といった周辺機器、パッケージソフトウェアでは「ベンダー(営業担当者)」「システムインテグレーター(SIer)」経由での導入の割合が高いことが明らかにした。4月に実施した国内中堅中小企業ユーザー調査に加えてITベンダーやSIer、販売代理店などへのヒアリング調査の結果をもとにした。
PC、ネットワーク機器は、小規模企業を含め多くの企業で導入されているほか、導入が比較的容易なことから販売代理店経由での導入が多い。その一方でサーバやストレージ、パッケージソフトウェアは、システム構築作業と並行して導入されるケースが中心となることからベンダー(営業担当者)、SIer経由での導入が多いと同社ではみている。周辺機器では、多くのプリンタベンダーが全国に拠点網を持ち、販売、保守、消耗品の補充を行っていることからベンダー(営業担当者)の割合が高くなっている。
2015年の国内中堅中小企業IT市場 製品別/販売チャネル別支出額構成比予測(IDC提供)
各地域の中堅中小企業向け販売代理店とSIerでは、ハードウェアの低価格化に加えて、仮想化や統合化など利用拡大による需要減少の影響をカバーするために新しい商材を模索しており、その一つとしてモバイルやクラウドを活用したソリューションの取り扱いを積極的に推進している。
ベンダーと通信事業者でも、中堅中小企業向けにモバイルやクラウドを活用したソリューションの提供、支援を強化している。クラウドを活用したソリューションの提供で従来の取引ベンダーではなく、外資系クラウドベンダーなどと新たに取引を開始するケースも増えており、既存の販売チャネル網に影響を与える可能性がある。
中堅中小企業向けにモバイル、クラウドを活用したソリューションを展開するにあたって、販売代理店やSIerがユーザー企業のニーズにあわせて提案するためには上流工程からの参画が重要になってくるが、ノウハウがないため期待通りの成果が得られないケースも多くみられる。
これについて、同社ITスペンディング リサーチマネージャーの市村仁氏は「ITベンダーは、パートナー企業に対して上流工程からの参画を可能にするため、ベストプラクティス事例などノウハウの積極的な提供が今後のパートナー支援に求められる」と分析している。