今後の成長が期待される黎明期に入っているテクノロジでは、2014年と比較して特に大幅な変化があったのが、住宅設備や家電などをインターネットでつなげていくコネクテッドホーム(Connected Home)だ。Gartnerでは、新たなソリューションやプラットフォームを生み出すと予測している。
日本では、東京電力が2020年までに全家庭に、電力の利用状況が見える化できるスマートメーターを約2700万台設置する計画をたてており、スマートメーターを介した新たな消費者向けサービスの登場も期待される。
2014年と比較して、2015年に新たに加えられたテクノロジでは、マイクロデータセンター(Micro Data Centers)やソフトウェアデファインドセキュリティ(Software-Defined Security)、市民向けデータサイエンス(Citizen Data Science)、IoTプラットフォーム(IoT Platform)などがある。
IoTが過度な期待のピーク期に対して、IoTプラットフォームは黎明期の中間に位置しており、IoTビジネスを加速させるためのデファクトとなるIoTプラットフォームの覇権争いが注目されている。
日本においても、NECが6月16日、日本の製造業向けのIoTソリューション「NEC Industrial IoT」を発表、NTTコミュニケーションズが8月1日に「IoT推進室」の新設を発表したように、IoTのサービス化やビジネス加速に向けた取り組みが進んでいくだろう。
Gartnerでは、デジタルビジネスに向けたロードマップにおいて、(1)アナログ、(2)ウェブ、(3)Eビジネス、(4)デジタルマーケティング、(5)デジタルビジネス、(6)オートノマス(自律型)、という6つのステージのビジネスモデルを定義しており特に注目されるのが6番目のオートノマス(自律型)だ。
オートノマス(自律型)は、人間的もしくは人間に代わって能力を持つテクノロジだ。これらのステージに達することを目標している企業は、検討すべきテクノロジとして以下をあげている。
自動走行車(Autonomous Vehicles)、生物音響センシング(Bioacoustic Sensing)、バイオチップス(Biochips)、ブレインコンピュータインターフェース(Brain-Computer Interface)、デジタル デクステラティ(Digital Dexterity)、ヒューマンオーグメンテーション(Human Augmentation)、マシンラーニング(Machine Learning)、ニューロビジネス(Neurobusiness)、クアンタムコンピューティング(Quantum Computing)、スマートアドバイザー(Smart Advisors)、スマートロボット(Smart Robots)、バーチャルパーソナルアシスタント(Virtual Personal Assistants) など
日本においても、みずほ銀行や三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行などの金融機関のコールセンターによる利用者の問い合わせに対応にIBMが提供する質問応答システム「Watson」の導入が進んでいる。情報システム部門においても、業務の効率化に向けて、中長期的に、これらのオートノマス(自律型)のテクノロジを積極的に活用することを検討していくことが重要となっている。
今後、超少子高齢化が進み労働人口の減少が進む中、企業は、これらのテクノロジを活用することで、生産性を高めていくことや、新たなビジネス創造への展開が、さらに、求められていくだろう。
- 林 雅之
- 国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。NTTコミュニケーションズで、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開 発などの業務を担当。政府のクラウドおよび情報通信政策関連案件の担当を経て、2011年6月よりクラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書多数。