小規模企業がクラウドの導入を尻込みしているとしたら、それは利益を得る機会を逃しているのかもしれない。
ビジネスソフトウェア企業のExactとPb7 Researchによる新しい調査結果によれば、クラウドに移行済みの小規模企業は、利益を2倍に増やしており、クラウドを導入していない小規模企業に比べて、25%多い増収を達成しているという。
この調査結果は、2015年8月19日に公開された「Small Business Cloud Barometer 2015」というレポートによって明らかになった。この調査では、2015年2月~3月の期間に、ウェブ上で抽出した米国の小規模企業を対象に、計750件の聞き取り調査を行っている。参加企業は全て従業員数が50人未満だった。
Exactが欧州の企業について収集した別のデータと比較すると、米国の小規模企業はクラウドの利用率が高く、回答企業の51%が少なくとも何らかのクラウドソフトウェアを事業で利用していると答えた。米国の小規模企業の30%近くが、3種類以上のクラウドアプリケーションを使用して業務を行っている。英国はクラウドの利用率が2番目に高く、47%がクラウドソフトウェアを使用しており、27%が少なくとも3種類、あるいはそれ以上のクラウドアプリケーションを使用している。
クラウドソフトウェアの導入を選択した理由に聞くと、回答はさまざまだったが、上位5項目は次のようになった。
- セキュリティ 32%
- ITコストの削減 26%
- システムメンテナンスが不要、または少なくて済む 23%
- モバイルアクセスの手軽さ 23%
- エンドユーザーの生産性および効率性の向上 21%
セキュリティがトップになっているという点で、この結果はExactのゼネラルマネージャーのKae Williams氏の予想とは異なるものだった。
「正直なところ、少し驚いた。それは、一部の顧客と話すと、懸念点だと言われる部分だからだ」(Williams氏)
しかしWilliams氏は、セキュリティがクラウドソフトウェア導入の一番の理由だというのは嬉しい驚きだと言う。同氏は、セキュリティは現在、クラウドに関して大きな議論になっている要素の1つとしており、クラウドはセキュリティが十分ではないとされがちだと考えている。
調査対象の企業がクラウドに切り替えたのは、こういったことが主な理由だったかもしれないが、そうした企業が実際に感じたメリットは少し違っていた。メリットの大きさを1~5までの数値で評価し、「1」は組織にとってメリットがないこと、「5」は大きな改善が見られたこととした。その上で、対象企業が感じたメリットの上位5つと、それぞれの平均点は次の通りだ。
- 使いやすい 4.0
- 情報が探しやすくなった 4.0
- 情報を共有しやすくなった 3.9
- 生産性が向上した 3.9
- ユーザーの追加/削除が容易になった 3.8
業種ごとの課題
このレポートでは、小規模な卸売業、製造業、会計事務所という3つの業種に関連するクラウドの利用パターンについて詳しく調べている。
小規模な卸売業者にとっては、適切な配送時間を維持することが主な課題である。この調査によれば、卸売業者の12%は、適切な在庫レベルを持たない供給業者に常に対処しなければならないと答えており、卸売業者のほぼ半分が、在庫問題が配送の遅れにつながったことがあるとしている。
調査に回答した卸売業者のうち、在庫が少なくなった際にアラートを受け取るようにしているのはわずか17%で、在庫レベルと配送時間を確認できているのは28%にすぎなかった。クラウドソフトウェアは卸売業者が必要としている、事業を推進するデータへの洞察を与えてくれる。さらに、モノのインターネット(IoT)や接続された職場環境といった概念は、配送状況を追跡し流通データを活用できるという点で、それらへの投資に値する見返りが得られる。