今回の調査に回答した製造業者は、業務上の主な課題としてコスト削減を挙げており、53%がそれを最上位の課題だとした。さらに、2番目に大きな課題としては新規取引先の開拓を、3番目としてはコスト管理を挙げた。製造業者がクラウドソフトウェアを選んだ理由は、ITコストの削減、セキュリティの向上、エンドユーザーの生産性および効率性の向上だった。
卸売業者とかなり似ているのだが、クラウドソリューションは製造業者に、そのワークフロー内の重要なデータポイントについてより優れた洞察を与えてくれる。また、クラウド技術は製造業全体で、新たなレベルの自動化を実現しており、IoTも製造プロセスを改善させられる段階にある。
最後に、小規模な会計事務所が直面する最大の課題は、コスト管理だ。クラウドに移行している会計士らが一番に挙げた理由は、ITコストの削減、セキュリティの向上、システムメンテナンスの軽減だった。
クラウドはこうした会計士らにビジネスデータへの洞察を同様に与えてくれるが、同時に、標準的な小規模企業のプロセスの一部を効率化し、従業員の時間を節約してより多くの顧客の仕事を引き受けられるようにしたり、生産性を向上したりする効果もある。
全体として見ると、小規模企業の採算性を高めているのは、フルクラウドのシステムがもたらす効率性だとWilliams氏は述べている。同氏は、企業がERPやCRMといったシングルポイント型システムの先を思い描けば、ビジネス全体の生産性を高めることができるとしている。
調査対象企業の半分がクラウドソフトウェアを利用しているかもしれないが、残り半分はまだクラウドを採用していないということでもある。Williams氏によれば、その理由の1つは、既存のソリューションを置き換える必要がないことに関係があるが、もう1つの理由は、小規模企業をクラウドに引きつけている理由と同じかもしれないという。
「調査結果とほぼ反対のことだが、クラウドのセキュリティは十分ではないと考えている人々や、クラウドに不慣れな人々が、いまだに数多くいるのだろう」(Williams氏)
Forresterの観点
Forrester Researchが2015年4月7日に発行したレポート「Demand Insights: The SMB Software Market 2015」でも、同様の調査が実施されている。しかし、このレポートは小規模企業だけではなく、中小企業全体に焦点を当てることによって、クラウドの導入状況に対して少し異なった観点を示しているようだ。
このForresterのレポートでは、中小企業は実際にクラウドソフトウェアの採用ペースが遅いが、零細企業(従業員数が20人未満の企業)では、採用ペースがはるかに速いことを示している。こうした零細企業は一般的に、長年のレガシーシステムという負担を抱えていないため、クラウドシステムをより容易に採用し、展開することができる。
Forresterのレポートによれば、零細企業のクラウド採用率は、大企業と同じレベルだという。ITに新たに投資する場合、多くの零細企業は真っ先にクラウドを選んでおり、零細企業の44%がSaaSコラボレーションソフトウェアを展開している。一方、大企業がSaaSコラボレーションソリューションを導入していたり、既存のオンプレミスコラボレーションツールを補完するためにSaaSを使用したりしている割合は38%だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。