本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本IBMの小池裕幸 執行役員と、富士通交通・道路データサービスの島田孝司 代表取締役社長の発言を紹介する。
「モバイル活用は今後、企業のブランド力に大きな影響を及ぼす」 (日本IBM 小池裕幸 執行役員)
日本IBM 執行役員 小池裕幸氏
日本IBMが先ごろ、企業におけるモバイルアプリケーションの開発・運用基盤ソフトウェア「IBM MobileFirst Platform」を機能強化したと発表した。同社執行役員でクラウド事業統括担当の小池氏の冒頭の発言は、その発表会見で、企業におけるモバイル活用のインパクトについて語ったものである。
クラウドおよびオンプレミスの両環境で利用できるIBM MobileFirst Platformは、モバイルアプリの開発・運用に必要なミドルウェア群を体系化したもので、IBM独自のモバイルアプリ開発環境に加えて他社が提供する開発ツールで開発されたアプリとも統合することができるとしている。
今回発表された機能強化点を含めてIBM MobileFirst Platformのさらに詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは小池氏が語ったモバイルアプリ開発プラットフォームの重要性やこの分野の競合状況に注目したい。
同氏はまず企業におけるモバイル活用について、「2017年、それぞれの企業においてお客様と対面する社員が使うアプリは、すべてモバイルを起点として作成されたものになる」とし、「モバイル活用が企業のビジネス戦略を変革する」と予見。冒頭の発言は、このコメントに続けて出てきたものである。
モバイルアプリ開発プラットフォームの重要性については、「企業におけるモバイル活用は当初、メールやスケジューラなどの標準アプリから始まったが、それにSNSやワークフローといったパッケージアプリが加わり、今ではバックエンドシステムとの連携といったカスタムアプリも使われるようになり、さらに今後はビッグデータと連動するアプリの活用へと広がっていく」と語ったうえで、次のように強調した。
「そうした中で、運用品質の低下や情報漏えいリスクなどの課題を解決し、新しい顧客体験を提供するアプリ開発に注力できるモバイルアプリ開発プラットフォームは、企業にとって必要不可欠なものとなる」