筆者の事例では、仮想デスクトップ(Virtual Desktop Infrastructure:VDI)を導入し、場所や利用端末を選ばすに自身のデスクトップにセキュアにアクセスできる環境を整えている。実際にわれわれの従業員でも、顧客訪問の合間にカフェやコワーキングスペースで業務を進める社員や、自宅で子育てや介護をしながら効率よく働いている社員もいる。
しかし、このようなメリットの一方で、VDIだけでは足りない点も実際に社内に導入して見えてきている。それは"コラボレーション”をカバーできない点だ。例えば、社内打ち合わせのために出社する必要があるほか、内線電話を取る、同じチームの人とちょっとした会話をしたりすることもVDIでは対応できない。
そこで必要なのがコラボレーションを可能にするツールである。筆者の事例ではチャットツールやウェブ会議、ビデオ会議などのシステムを導入することで、社外にいても打ち合わせに参加できるようになり、チャットで気軽に社員同士が会話できるようになっている。顧客やパートナー企業とのコミュニケーションも迅速になり、大きなメリットを見いだせている。
なお、詳細なツールの紹介や、導入の際に気をつけるべきポイント、さらには実際に導入して見えてきた具体的な効果については本連載の中で紹介していく。
スマートデバイスの活用における課題
さて、このようなモビリティの向上には、スマートデバイスの活用が欠かせない。さらに、国内大手キャリアがフィーチャーフォン (ガラケー)の販売を終了したこともあり、今後企業はスマートデバイスを必ず管理しなければならなくなることも、ワークスタイル変革のためのスマートデバイス活用を加速する要因となるだろう。
その中で課題となるのは、増加するセキュリティの脅威だ。まず、スマートデバイスは携帯するために紛失や盗難に遭うリスクが高く、平成26年度の警視庁の発表では携帯電話の遺失届けは24万9993件となっている。そのうち手元に戻ってきている台数(遺失者返還)は12万3402件と約半数程度である。