それにも関わらず、紛失時にデータを守ることができない状況にある企業が多い。65%の企業はリモートからスマートデバイスのデータを消去する対策(リモートワイプ)を準備しておらず、76%の企業はデバイスに対する暗号化も施していない。
また、スマートデバイスの多くのアプリケーションがすでにクラックされている。ユーザーはセキュリティよりも利便性を求める傾向にあるため、企業はアプリケーションを管理していないとクラックされたアプリケーションから社内ネットワークに侵入される可能性もある。特に、デバイスをVPNで社内に接続している企業は注意する必要がある。
確かにセキュリティは最重要項目の一つに違いないが、そればかり気にしていてはワークスタイル変革や生産性向上は望めない。スマートデバイスをモバイル機器管理(MDM)を使って通話のみの機能に限定している企業も少なくないが、より重要なのはMDMをベースにしてセキュアに利用できるアプリケーションを増やすことで、生産性の向上につなげることだ。このMDMについても本連載の中でくわしく紹介する。
企業におけるモビリティへの期待
企業では、モビリティへの期待が高まっているが、経営層とユーザーでは視点が異なっている。
まず経営層が求めているモビリティの効果は次のようなものである。
- 売り上げの増加
- コスト削減
- 従業員の生産性向上と満足度向上
売り上げの増加では、顧客訪問を増やすことで営業機会を最大化することが期待される。例えば製品情報や在庫状況、使い方のビデオなどをその場で営業が紹介でき、さらに問い合わせにもその場で社内の情報にアクセスして回答することで、契約数の増加や顧客満足度の向上に貢献できる。