VMwareも、「vSphere」と「vCloud Air」にコンテナとオーケストレーションツールを統合するため、DockerおよびGoogleとパートナーシップを組んだことを発表した。同社はvSphere上でコンテナを実行することに最適化された軽量Linux「Photon」を作った。また、Project Bonnevilleは、vSphereとDockerとの間にあるギャップを埋めるための試みだ。
4.3つの組織の創設
2015年の前半だけで3つの重要な組織が創設されたことは、新しい時代の始まりを象徴する出来事だろう。
Cloud Foundry Foundationは、30社のメンバー企業を抱える活気のあるコミュニティーであり、その目的は「Cloud Foundry」をPaaSの業界標準にすることだ。同組織はクラウドネイティブアプリケーションの設計を推進している。業界の古参であるSam Ramji氏が、この組織の運営を担っている。
また、DockerCon SF 2015では、DockerとLinux Foundationが、コンテナのフォーマットとランタイムの標準を作ることを目的とした組織であるOpen Container Initiative(OCI)の設立を発表した。この組織には、AmazonからVMwareまで、この業界の主な企業がずらりと顔を並べている。OCIでは、DockerとCoreOSが中心となって、互換性のあるコンテナのフォーマット、API、ランタイムの作成に取り組んでいる。
Cloud Native Computing Foundation(CNCF)の設立は、コンテナの歴史の中で重要な出来事だ。OSCON 2015では、Googleが同社のオープンソースオーケストレーションツール「Kubernetes」をLinux Foundationに寄贈すると発表している。Linux FoundationのディレクターJim Zemlin氏によれば、同組織の目的は、クラウドネイティブなアプリケーションとサービスを導入するためのテクノロジについて、開発者と運用担当者の間での共同作業を促進することだ。OCIはコンテナのコアテクノロジ標準化を目指す組織であり、CNCFはコンテナ管理に使用されるツールの標準化を目指す組織だと言える。
Cloud Foundry Foundation、OCI、CNCFという3つの組織には、大企業への最新技術スタックの導入を促進するという共通の目標がある。
5.「OpenStack」でのコンテナの重要性
OpenStackプロジェクトは、2010年に商用プライベートクラウドプラットフォームの代替技術としてスタートした。OpenStackの最新バージョンである「Kilo」では、コアのコンピュートレイヤとコンテナの融合が見られる。OpenStackのサブプロジェクトの1つである「Magnum」は、OpenStackでDockerとKubernetesを利用できるようにした。公式Wikiによれば、「MagnumはHeatを使用して、DockerとKubernetsを含むOSイメージのオーケストレーションを行い、そのイメージをクラスタ構成の仮想マシンまたはベアメタルで実行する」という。Magnumは、「Nova」とDockerのギャップを埋めるものだ。
2015年6月には、GoogleがKubernetesをプライベートクラウド環境やハイブリッドクラウド環境でも利用できるようにするため、OpenStack Foundationに参加した。これによって、Googleのエンジニアは公式にMagnumに貢献できるようになる。「Compute Engine」にかなりの投資をしているGoogleは、既存のエンタープライズ顧客にOpenStackを選んでほしいと考えている。このため、KubernetesはOpenStackのハイブリッド戦略の中で、大きな役割を果たす可能性が高い。
まとめ
主要なベンダーがそろってコンテナへの取り組みを積極的に進めていることを考えれば、次に何が来るのかは明らかだ。大企業は当初は仮想化の導入に及び腰だったが、コンテナについても同様の抵抗があるかもしれない。しかし、大企業もコンテナについて真剣に検討を始め、IT部門にクラウドネイティブなプラットフォームを活用する準備を始めさせるべき時期に来ている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。