――無線インフラ分野の再編が続いている。何がおこっているのか。
無線技術の市場は分断化しており、今後コンソリデーションが進む。これまでNokiaはSiemens、Motorola、Panasonicからそれぞれ必要な技術を取得してきた。今回これに、AlcatelとLucent(Alcatel-Lucentは2006年にフランスのAlcatelと米国のLucent Technologiesが合併してできたベンダー)が加わるーーつまり6社が1社になる。新会社は売上高250億ユーロの巨大なベンダーとなり、Ericsson、Huawei Technologiesと同レベルのベンダーが3社揃うことになる。通信事業者は通常、デュアルベンダー戦略を敷いており、1社からすべて調達ということはなく、3社でパイを分け合うことになるだろう。
ベンダーの持続は事業者にとって重要なことであり、大規模で体力のあるベンダーが誕生することは市場にとってよいことだ。
――買収を成功させるために、買収後の製品と組織の合併をどのように進めていくのか?
現在、われわれが最も重視している部分だ。これまでの経験から、成功と繰り返したくない失敗をきちんと理解している。
繰り返したくないこととして、これは合弁企業ではないということ。合弁会社は特に持ち株比率が50対50の場合、意思決定の点で難しい。今回は買収発表時に社名をNokiaとし、CEOを任命(NokiaのCEO、Rajeev Suri氏が続投)し、組織を明確にした。これはNokiaが行う買収であり、Nokiaの取締役が継続する。
製品面では、NokiaとSiemens、AlcatelとLucentと過去の買収と比べて、技術が進化している。基地局とベースバンドがやり取りする方法が改善しており、今回われわれは「CPRI」というオープンなインターフェイスを利用してNokiaの基地局、Alcatel-Lucentの基地局がやりとりできるようにする。これにより、機器を交換するコストを最小限に抑えることができ、現在のインストールベースを維持できる。このようなことは、2G、3Gでは無理だった。
買収は2016年はじめに完了を見込んでいるが、その後すぐにプレ5G技術を利用して選手村を接続するなどの構想が立ち上がっている。その2年後は東京オリンピックで商用5Gのローンチが予想されている。われわれはこのようなチャンスを睨み、最初から1種類のLTE製品を開発するのかなどについても、話し合いを進めている。
プロセスとしては、合意発表から1週間後にはNokiaとAlcatel-Lucentのそれぞれが統合リーダーを立て、統合リーダーの下でプロジェクトチーム、インテグレーションチームなどに分かれて透明性をもって統合の計画を立てている。これにより、完了したその日に統合作業に入ることができるだろう。
Nokia Siemens Networksの時に、専門コンサルタントを入れて社風を調べたところ、社内にNokia、Siemens、そして迅速に動くアジア的文化の3つの社風があることがわかった。
合併後の会社では、バリューと社風はNokiaのものとなる必要がある。Alcatel-Lucentにある良い文化を矯正する必要はないが、Nokiaのバリュー、Nokiaの社風ということを示していく。そのためには、社員との対話が必要で、時間もかかる。だが、われわれはやり遂げる自信がある。