同氏はまた、こうしたオープンソースプロジェクトにおけるオープンさの欠如によって、標準化に向けた合意形成が形骸化するという問題につながっていると主張している。
Dunning氏は「何か行動を起こす時に『オープンかクローズドか?』を明確にするのは重要だ。その中道を歩むのは非常に難しい」と述べている。
一部のプロジェクトが単一企業による独占という結果に終わってしまうのは、単に他者を排除したか、専門性によって市場の一角を押さえたか、他に誰も興味を抱いていないといった理由による。
同氏は「プロジェクトを進めようとしているが誰からも顧みられないというプロジェクトも実際に存在する。それも1つのかたちだ。またプロジェクトを独占し、『このプロジェクトを遂行しているのはわれわれだ』などと主張して、彼らがプロジェクトそのものだということをほのめかすというかたちもある。しかし、それはコミュニティを築き上げる方法ではない。コミュニティの構築こそがオープンソースのポイントなのだ」と述べている。
Dunning氏とオープンソースソフトウェアの関係は数十年前にまでさかのぼることができる。正確に言えば、2015年3月で40年を迎えた。
同氏は「さまざまな変化があった。しかし、何が最も重要なのかを繰り返し目の当たりにしてきており、Apacheがコードよりもコミュニティを重視するという結論に到達している点に満足している」と述べている。
「優れたコミュニティであればコードは迅速に再構築できる。コードは、言葉は悪いが、何の役にも立たない。死んでいると言ってもよいだろう。コードを生かすのは人であり、人こそがコミュニティなのだ。このため、コミュニティを所有していると主張するのであれば、十分な対価を支払わずに人を一定期間使役するという、米国開拓時代における年季奉公制度はとっくの昔に法律で禁止されたことを思い出すべきだ」(Dunning氏)