ユニマットライフは、5年前から一部で導入してきたシンクライアント環境を一新し、新たに基幹系業務を全面的にシンクライアント化した。完全なシンクライアント化と運用管理の自動化により、オペレーションコストとシステム運用の作業負荷の大幅な削減を可能にした。製品を提供したデルが8月31日、ユーザー事例として公表した。
ユニマットライフでは20万社近くの顧客情報を扱うため、情報セキュリティの強化という面からもシンクライアント化には早くから強い関心を持っており、一部のシステムに他社のクライアント仮想化基盤を導入してきた。
しかし、事業の成長に伴い、1台の仮想サーバに接続するシンクライアント端末が増えるにつれて、仮想化基盤上にある業務基幹システムのパフォーマンス低下や、日常的な運用管理、メンテナンスコストの増大などの課題が出てきていた。
さらに、サーバの保守契約切れが間近に迫っており、ここでも早急な対応が迫られていた。そこで今回、これらの問題を全面的かつ抜本的に解決すべく、人事、給与、会計、および売り上げ、請求管理を含む販売システムなどの基幹系業務システムすべてをシンクライアント化する、新しいクライアント仮想化システムの導入に着手したという。
新たなシンクライアント環境には、デルの独自シンクライアント OS「Wyse ThinOS」を搭載した「Wyseシンクライアント T10」を端末として採用。端末は全部で750台で、150台がVMware Horizon View 5.2によるVDI、600台がMicrosoft Windows Server 2012によるRDS(Remote Desktop Services)上で稼働している。
サーバ側では、Dell PowerEdge M1000e ブレードエンクロージャが2台、Dell PowerEdge M620 ブレードサーバが18枚、Dell EqualLogic PS6110S 10GbE iSCSI アレイが6台という構成で、この基盤上に各基幹系業務システムの仮想サーバ1150台が稼働。
なお、今回のプロジェクトは、最初のシステム提案から採用決定まで2カ月、開発、移行完了、サービス開始まで4カ月というペースで、さらにデータセンターの移行も同時並行で行われた。
ユニマットライフ システム室 室長の蓮見裕一氏は、今回の完全シンクライアント化の成果と今後について、以下のようにコメントしている。
「移行前は、ファットクライアントのPCが数多く存在していたため、年間100台くらいのPCの新規追加・廃棄があり、毎日その作業や修理、データやソフトウェアの入れ替えなどに追われていました。移行後はそうした作業のほとんどがなくなり、システム管理のコストが劇的に改善しただけでなく、管理品質そのものも向上しました。今回のシンクライアント化の結果、すべてのソフトウェアやデータは本社のサーバに集約、管理され、PCの知識のない人でも安心して利用できるようになりました。アップデートやセキュリティパッチの適用などもすべて集中的に実行できるため、作業品質やセキュリティレベルも大きく向上しました。今後は、シンクライアント化の長所を活かした自由度の高いワークスタイルを提供できる仕組みを考えます。バーチャル事務センターのようなものも可能ではないかと考えています。今後はこの新しい仮想化基盤をステップボードに、さまざまな形での業務の効率化や省力化を進め、自社のビジネスの成長にさらに貢献します」