コンテナや機械学習なども提供--PaaS「Bluemix」の今を見る

田中好伸 (編集部)

2015-09-07 13:12

 IaaS「SoftLayer」とPaaS「Bluemix」を中心にしたイベント「SoftLayer Bluemix Summit 2015」が9月2日に開催された。同イベントは、SoftLayerとBluemixを提供する日本IBMではなく、ユーザーコミュニティが主催するという性格の技術カンファレンスとなっている。

 基調講演の挨拶に立った日本IBMでクラウドエバンジェリストを務める北瀬公彦氏によると、SoftLayerとBluemixのユーザー会のメンバーは現在4000人以上。ユーザー会はハッカソンや勉強会、ブログイベント、女子会といった形で情報を共有しており、今回のイベントでもユーザー同士でコミュニケーションを取ることが基底となっている。

 同イベントを支援する企業や組織は51、セッションの数は59。日本IBMの関係者が登壇するセッションのほかに、SoftLayerとBluemixを活用する側のTISやクリエーションライン、サイオステクノロジー、エス・アンド・アイ、伊藤忠テクノソリューションズなどのセッションも開催された。

コンテナと仮想マシンに対応

 オープンソースソフトウェア(OSS)のPaaS基盤ソフトウェアである「Cloud Foundry」を中核にしたBluemixは、2014年6月に正式版が公開。基調講演の中で日本IBMの東京ソフトウェア&システム開発研究所クラウド開発部長の浦本直彦氏によると、正式版公開時に活用できるサービスの数は50未満だったが、現在は140に上るという。

浦本直彦氏
日本IBM 東京ソフトウェア&システム開発研究所 クラウド開発部長 浦本直彦氏

 正式版公開から4カ月後の2014年10月には、Bluemixをベースにして“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”の仕組みを活用できるSaaS「IoT Foundation」が公開、同じく2014年10月には機械学習や自然言語での質問応答などの機能を使える「Watson」のサービスもベータ版として提供されている。

 2014年11月には、SoftLayerでユーザー企業ごとの専有環境として利用できる「Bluemix Dedicated」が提供され、2015年2月には、オンプレミスでBluemixを活用できる「Bluemix Local」の提供が始まった。オフプレミスのBluemixはマルチテナントとシングルテナントの両方で活用できるようになり、同様の環境をオンプレミスでも活用できるようになっている。

 Bluemixの動きで注目されるのが、この6月から提供されている「IBM Containers」だ。インフラ技術の領域でこの1年で大きな注目を集めているコンテナ技術を提供するDockerとIBMは2014年12月に提携。IBMのContainersは、Bluemixで使えるようになっている。

 浦本氏は、Containersの重要性について「コンテナにアプリケーションを載せられることは、ハイブリッド環境で欠かせないポータビリティ(可搬性)を生かせるようになる」と説明。パブリックとプライベートの両方のクラウドを併用したり、組み合わせたり、アプリケーションを動かしたりするハイブリッド環境でのコンテナ技術の重要性を強調した。

 Containers公開前の5月からは、OSSのIaaS環境構築管理ソフトウェア「OpenStack」で稼働する仮想マシンを利用できるサービス「Bluemix Virtual Machines」がベータ版として提供されている。仮想マシンを利用できるようになり、アプリケーションの可搬性を提供できるようになったことでBluemixは「幅広い品揃え」(浦本氏)という強みを獲得した。

 浦本氏はパブリッククラウドであるBluemixの強みとして「IBMが管理している」ことも挙げた。最大のメリットとして提供されるサービスの多さも強調した。「小さいものが山のようにある」(浦本氏)。現在IBMはハイブリッドITを強調しているが、同氏はハイブリッドITがもたらすメリットとして以下のように説明した。

 「アプリケーションはパブリッククラウドで稼働させたいが、その下で稼働するデータベースはオンプレミスに保持したいという要望にも、(Bluemixで提供している)Secure Gatewayで対応できる」

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