部品を組み合わせる
現在Bluemixで提供されているサービスは約140とされており、WatsonやIoTのほかにモバイルやDevOps、ウェブ&アプリケーション、インテグレーション、データ管理、ビッグデータ、セキュリティ、ビジネスアナリティクスといった分野のサービスを提供している。こうしたサービスは、ユーザーが必要な機能だけを組み合わせて利用できるように“マイクロサービス化”したものと言い表せる。
Bluemixは当初から、コードをゼロから書くのではなく、必要なサービスを部品として組み合わせることで、ユーザーが要求するシステムを完成させることを目指している。背景にあるのは、モバイル端末やSNSなどから来る経済のデジタル化だ。
社会や経済がデジタル化していく中では、企業を取り巻く環境もかつて考えられなかったような速度で変化する。企業ITでも「とにかくスピード」(浦本氏)が求められるようになっている。Bluemixで提供しているサービスは、そうした大前提に対応するためのひとつのアプローチとも表現できる。
デジタル化が進む企業活動で注目されつつあるのがREST形式のAPIだ。APIは、主にネットサービスを連携させるために活用されているが、企業活動がデジタル化する中でAPIは業務システムでも活用されつつある。モバイルアプリで提供される機能もさまざまなAPIで情報を集め、表示させるようになっている。
デジタル化が進む企業活動とITの現在の状況について浦本氏は「2.0」という言葉で表す。ビジネスとITの以前の関係、1.0の状況では、顧客が製品やサービスを購入してからを処理するための“System of Record(SoR)”がメインだった。
1.0の時代のITは、オンプレミスのSoRがメイン。1.0から2.0への変化では、顧客に購入してもらうまでが主な目的となる“System of Engagement(SoE)”が役割を果たすことになる。この2.0の状況、つまり現在は、クラウド、アナリティクス、モバイル、ソーシャルで構成される“CAMS”(SCAMやSMACとも呼ばれる。IBMの場合、セキュリティを足して“CAMSS”が重要と提言している)が重要とした。
2.0では、オンプレミスのSoRにオフプレミスのSoRやSoEがつながる。浦本氏は、この2.0にDevOpsやハイブリッドクラウド、APIそしてマイクロサービスを加えた「3.0」の時代が来ると解説する。3.0の場合、クラウドにあるSoRやSoEも巨大なシステムではなく、機能が細かく分割されたマイクロサービスとして稼働、APIがマイクロサービスをつなぐという姿だ。そのため、3.0時代のクラウドは単一なものではなく、多種多様なクラウドを活用するマルチクラウドが前提という。
「とにかくスピード」が求められるようになっている企業ITの場合、「“ここ(企業内部)で作られたものじゃなきゃイヤだ”とは言えなくなる。(企業内外にある)マイクロサービスをAPIでつないだ方が素早い」(浦本氏)からだ。
デジタルへの移行が進む社会で「破壊する側になるのか、破壊される側になるのか。開発者がイノベーションをドライブする」と浦本氏は提言した。
Bluemixで提供されている主要なサービス