クラウドやOEMなどの形態でも提供を開始
また今回、新たにパブリッククラウドのサービス群「Qlik Cloud」の提供も開始する。
まず、Qlik Senseの技術を用いたサービスとして、ユーザーが自作したQlik Senseアプリケーションを最大5人の他ユーザーに共有できる「Qlik Sense Cloud」と、Qlik Senseのチャート機能をブログやSNSなどに組み込んで一般公開できるデータビジュアライゼーション機能「Qlik Sense Charts」を用意する。前者は小規模なチームでの共有、後者は主にジャーナリストやブロガーなど想定しているという。
以前から提供している「Qlik Sense Desktop 無償版」と同様、誰でも手軽に分析機能を利用できるツールだとしている。
同じくクラウドサービスの1つとして提供するのが、データライブラリサービス「Qlik DataMarket」。BIベンダーで、この種のデータライブラリを提供しているのは同社だけだとして、BIとして初の「Data-as-a-Service」と謳っている。
「これは2014年に買収したアイスランド企業のサービスが元になったクラウドサービスで、世界各国の人口、経済、医療といった各種統計情報など、200ほどのデータプロバイダからの約10万ものデータセットを提供します。Qlik Senseから容易に利用できる形となっており、企業内のデータと組み合わせ、統合して分析できます」(Fisher氏)
データセットは今後、要望に応じて追加していく考えで、特定産業や特定ソーシャルメディアなど、通常のデータセットにないものも対応していくほか、追加でプレミアムデータセットを提供する予定としている。
さらに、単体の製品/サービスだけでなくOEMとして利用できる形態でも、連想技術の分析エンジンを提供する。それが「Qlik Analytics Platform」だ。オープンなAPIによりカスタム開発が可能で、オンプレミス展開もできるため、OEMパートナーやISVによる独自アプリケーション開発にも対応する。その名の通り、分析プラットフォームとして組み込める製品だ。
「Qlik Analytics Platformでは、アナリティクス分野ではかつてなかったオープンさを実現した。これを用いることで、カスタマーやディストリビューターなどが社外に提供できるようになる。また、ウェブデベロッパーがマッシュアップの形でオープンソースのツールを組み合わせて独自の分析アプリケーションを作ることもできます」(Fisher氏)
ダッシュボード機能の画面
幅を広げると同時に深掘りを進めていく
1年ほど前までは「QlikViewのベンダー」だったQlikだが、今回の一連の製品/サービス投入で大きく変わった印象だ。現在のQlikの戦略について、Fisher氏は次のように語る。
「QlikViewは連想技術により『何が起きたのか』だけでなく『なぜ起きたのか』『これから何が起きそうなのか』までカバーし、ビジネスユーザーにはアジリティ、IT部門にはストレングス、拡張性や信頼性、可用性を提供することで、アナリティクスを根本的に変える製品となりました。今では、この連想技術を主な技術基盤とし、各製品やサービスを通じて、『分析』『データ』『クラウド』でイノベーションの拡大を進めています。今後は、各分野で幅を広げると同時に、深掘りしていきます」