この「国民の利便性の向上」や「行政の効率化」のメリットを受けるためには、個人番号カードが必要となります。
その個人番号カードは、2016年1月から発行されることになっています。その申請方法も、当初アナウンスされていた交付申請書に写真を貼って郵送する紙による方法に加えて、スマートフォンやPCから申請する方法、企業で従業員の交付申請をまとめて行う方法など追加され、政府として、できるだけ多くの国民が個人番号カードを取得するように進めていきたいという意向がみてとれます。
これは、政府が、個人番号カードの普及がマイナンバー制度の成否を握ると考えているからです。
では、個人番号カードで何ができるようになるのでしょうか。この7月にオープンした個人番号カード総合サイトでは、以下のような用途があげられています。
- 個人番号を証明する書類
- 各種行政手続きのオンライン申請
- 本人確認の際の公的な身分証明書
- 各種民間のオンライン取引
- さまざまなサービスを搭載した多目的カード
- コンビニなどで各種証明書を取得
「さまざまなサービスを搭載した多目的カード」では、「市区町村や国等が提供するさまざまなサービスごとに必要だった複数のカードが個人番号カードと一体化できます」としており、健康保険証や市区町村が発行する図書館カード、印鑑証明書カードなどが一体化すると想定されています。
さらに「各種民間のオンライン取引」でオンラインバンキングが例示されていることからも想定できますが、改正マイナンバー法を受けてキャッシュカードとの一体化も構想されていると考えられます。
「各種行政手続きのオンライン申請」では「2017年1月から開始されるマイナポータルへのログインをはじめ、各種の行政手続きのオンライン申請に利用できます」としています。
このマイナポータルは2017年1月からサービス開始予定の国民ひとりひとりのポータルサイトですが、もともとは「情報提供等記録開示システム」と呼ばれ、自分のマイナンバーを含む特定個人情報のやりとりの記録などが確認できるサイトとして説明されてきました。
そのマイナポータルの構想がさらに拡張され、例えば図2のように保険会社から支払証明書、金融機関から住宅ローンの残高証明書などが電子情報として交付されます。さらに健康保険証と個人番号カードの一体化により医療費の情報なども入ってきて、そのままe-Tax(国税電子申告)に転記可能となることで、医療費控除の電子申告ができるというようなことが、「各種行政手続きのオンライン申請」で実現できるように構想されていると考えられます。
内閣官房IT総合戦略室「マイポータル/マイガバメントについて」より