松岡功の一言もの申す

オープンイノベーションの真価が問われる「Fintech」

松岡功

2015-09-10 12:00

 ITが生み出す金融サービス「Fintech(フィンテック)」が注目を集めている。関連企業にとっては、オープンイノベーションの真価が問われそうだ。

富士通がFintech推進へコンソーシアムを設立

 富士通が先ごろ、Fintechの潮流をとらえ、金融サービスのオープンイノベーションを加速させることを目的としたコンソーシアム「Financial Innovation For Japan」(FIFJ)を設立し、本格的な活動を開始した。同社が国内金融機関とFintech企業を合わせて100社以上参加するコンソーシアムの主催社となり、Fintech企業によるプレゼンテーションやコンテスト、ハッカソンなどの各種イベントを行い、金融機関とFintech企業の交流機会を提供するとしている。

 金融機関では、三菱東京UFJ銀行、みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行、野村ホールディングス、日本生命保険、ジェーシービーなどが参加。Fintech企業としては、独自技術を持つベンチャー企業が名を連ねるとともに、日本マイクロソフト、ヴイエムウェア、SCSK、TISなどのIT大手も参加している。(図参照)


富士通が主催するコンソーシアム「FIFJ」の概要(出典:富士通の資料)

 富士通はFIFJを主催するとともに、Fintech企業が提案するアイデアや仕組みを金融サービスに導入するかどうかを検討するための市場調査や技術評価、および新しいサービスを提供するためのシステム構築などのサービスも提供。システム構築支援では、新たな金融サービスや金融機関の競争力強化に向けたシステムと、既存の業務システムとの連携を支援する機能と同社のナレッジを統合した「デジタルビジネスプラットフォーム」を提供するという。

 さらに、スマートデバイスのアプリケーションやビッグデータ活用を促進するため、デジタルビジネスプラットフォームのAPIなどをFintech企業に積極的に開示し、効率的な金融サービスの実現を支援する構えだ。

カギとなるオープンイノベーションの取り組み

 ちなみに富士通によると、FintechとはFinanceとTechnologyを組み合わせた造語で、「スマートデバイスやビッグデータ関連技術の活用により、既存の金融サービスの非効率性を解消し、金融サービスのイノベーションを提供しようとする活動」を意味するとしている。また、Fintech企業については、「先進的なITと金融ノウハウの融合により、新たなサービスイノベーションの提供を目指すベンチャー企業などを指す」としている。

 また、FIFJ設立の背景については、「昨今のITやスマートデバイスの急激な発展と普及に伴い、これらを活用した金融サービスのオープンイノベーションが求められており、Fintechが先行している海外では、すでに金融機関がFintech企業との提携によって革新的なサービスの創出を図っている。国内においても金融機関などでFintechに関するコンテストやイベント、提携などの取り組みが始まっている」と説明している。

 こうしてみると、Fintech事業を推進するうえでは、オープンイノベーションによるエコシステムづくりがカギとなりそうだ。オープンイノベーションとは、自社技術だけでなく他社や大学などが持つ技術やアイデアを組み合わせ、革新的なビジネスモデルや研究成果、製品開発につなげるイノベーションの方法論のことである。

 ただ、オープンイノベーションは“言うは易し行うが難し”の取り組みだ。その意味では、Fintechの拡大に向けて、まさしくオープンイノベーションの真価が問われることになりそうだ。

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